ABCB1は、多種多様な異物の体内(細胞内)への侵入を防ぐ生体防御の要ですが、多くの薬も排出してしまうので双刃の剣となっており、ABCB1がどのように多様な化学構造のクスリを認識して運ぶことができるのかは、薬学における最大の謎の1つでした。
本研究グループは、ABCB1が動作する途中の2つの状態、すなわち、薬を捉えようと細胞内側に開いた状態と、ATPと結合して薬を細胞外へ運び出した後の状態を結晶化して、それぞれの立体構造を原子分解能で決定することに初めて成功しました。その結果、どんな薬も分子内部の巨大な袋に捉え、袋を絞るようにして排出する新たな仕組みが明らかにされました。本研究成果は、革新的な新薬を生み出すために役立つことが期待されます。
本研究成果は、2019年1月8日に、国際学術誌「Nature Communications」にオンライン掲載されました。
図:本研究の概要
詳しい研究内容について
多剤排出ポンプが薬を輸送するメカニズムを解明 -世界初の結晶構造が示すどんな薬でも絞り出す仕組み-
書誌情報
【DOI】https://doi.org/10.1038/s41467-018-08007-x
【KURENAIアクセスURL】http://hdl.handle.net/2433/236008
Atsushi Kodan, Tomohiro Yamaguchi, Toru Nakatsu, Keita Matsuoka, Yasuhisa Kimura, Kazumitsu Ueda & Hiroaki Kato (2019). Inward- and outward-facing X-ray crystal structures of homodimeric P-glycoprotein CmABCB1. Nature Communications, 10:88.


