2026-10-05 東京大学
東京大学の研究チームは、細胞内のウイルスRNAセンサーとして知られるMDA5が、細胞外に放出された自己RNAを回収・分解し、間質性肺炎や肺線維症の悪化を抑える新たな機能を持つことを明らかにした。培養細胞、マウスモデル、患者の肺組織の遺伝子発現データを解析した結果、肺障害時にはMDA5がマクロファージの細胞表面へ移行し、細胞外の自己RNAを捕捉してライソゾームへ運び、分解を促すことが判明した。一方、MDA5が欠損すると自己RNAが蓄積し、RNAセンサーTLR8が活性化され、炎症性ケモカインであるCCR2リガンドの産生を通じて免疫細胞の浸潤と肺線維化が促進された。マウスにCCR2阻害剤を投与すると、肺の線維化や呼吸機能の低下が改善した。患者データでも、炎症関連分子の発現と予後・呼吸機能との関連が示された。本研究は、自己RNAの除去不全が肺線維症を悪化させる仕組みを提示し、RNA除去機能の促進や炎症経路の阻害を通じた新たな治療法の開発につながる可能性がある。

肺線維症病態における、放出自己RNAと自然免疫反応の制御機構
<関連情報>
非標準的な細胞表面MDA5による細胞外RNAの除去が、肺線維症を予防する
Extracellular RNA clearance by non-canonical cell-surface MDA5 protects against lung fibrosis
Takashi Ishii, Masafumi Horie, Hirokazu Urushiyama, Yusuke Murakami, Tomoya Narita, Ryutaro Fukui, Kensuke Miyake, Akira Saito, Naomi Yamashita, Keiki Kumano, and Hidenori Kage
EMBO Molecular Medicine


