2018-04-02 名古屋大学大学院,国立遺伝学研究所
Germ cells in the teleost fish medaka have an inherent feminizing effect
Toshiya Nishimura, Kazuki Yamada, Chika Fujimori, Mariko Kikuchi, Toshihiro Kawasaki, Kellee R. Siegfried, Noriyoshi Sakai, Minoru Tanaka
PLoS Genetics Published: March 29, 2018 DOI:10.1371/journal.pgen.1007259
名古屋大学大学院理学研究科の 田中 実 教授、西村 俊哉 助教の研究グループは、国立遺伝学研究所の 酒井 則良 准教授のグループ及びUniversity of Massachusetts BostonのKellee Siegfried博士との共同研究により、身体をメスにしたがる特質の細胞がいることを、メダカを利用した実験において見出しました。
哺乳類もメダカもY染色体を持っていると身体はオスになります。ところが、「生殖細胞」は身体がY染色体を持っていようがいまいが、もともと、身体をメスにしたがる働きを持っているだけでなく、この特質がないとメダカはメスにはなれないこともわかりました。「生殖細胞」は精子と卵(配偶子)の元となる細胞、すなわち、子孫を作り出すのに必須の細胞なのです。生殖細胞は、精子と卵のどちらにもなれる能力を持っています。興味深いことに、このメスにさせる特質は、生殖細胞が精子もしくは卵のどちらになるのかが決まる前の状態から発揮され、また「精子になる」と決まった生殖細胞にもこの特質があることがわかりました。
身体をメスにしたがる細胞の特質がわかったことにより、今後、身体の性が決まる仕組みの理解が一層深まると期待されます。
この研究成果は、平成30年3月30日付(日本時間午前3時)米国科学雑誌「PLOS Genetics」オンライン版に掲載されました。
また、この研究は文部科学省科学研究費補助金、住友財団及びノバルティス科学振興財団の支援のもとで行われたものです。