茎が伸長を開始する仕組みの発見 ~アクセル因子とブレーキ因子の巧妙なバランスによる茎伸長制御~

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2020-07-16 国立遺伝学研究所

Antagonistic regulation of the gibberellic acid response during stem growth in rice

Keisuke Nagai, Yoshinao Mori, Shin Ishikawa, Tomoyuki Furuta, Rico Gamuyao, Yoko Niimi, Tokunori Hobo, Moyuri Fukuda, Mikiko Kojima, Yumiko Takebayashi, Atsushi Fukushima, Yasuyo Himuro, Masatomo Kobayashi, Wataru Ackley, Hiroshi Hisano, Kazuhiro Sato, Aya Yoshida, Jianzhong Wu, Hitoshi Sakakibara, Yutaka Sato, Hiroyuki Tsuji, Takashi Akagi and Motoyuki Ashikari

Nature 15 July 2020 DOI:10.1038/s41586-020-2501-8

Figure1

このたび、名古屋大学生物機能開発利用研究センター永井啓祐助教、芦苅基行教授らの共同研究チームは、これまで謎であった植物の茎が伸長を開始する仕組みを解明しました。約50年前に日本人の研究者らによって、茎伸長の開始を制御する因子の存在が提唱されていましたが、その実態は未解明のままでした。今回、研究チームはイネを使って、茎伸長におけるアクセル役であるACE1遺伝子とブレーキ役であるDEC1遺伝子の2つの因子を発見し、相反する機能を持つこれらの因子のバランスによって、茎が伸長を開始するタイミングが制御されていることを明らかにしました。また、このACE1遺伝子とDEC1遺伝子による茎伸長の制御機構はイネ科植物に共通したメカニズムであることも判明し、本研究成果はイネだけではなく、コムギやオオムギなどのイネ科作物の草丈を人為的に制御する技術への応用が期待されます。

本研究は、岡山大学、横浜市立大学、情報・システム研究機構国立遺伝学研究所、理化学研究所、農業・食品産業技術総合研究機構(以下、農研機構)との共同研究で行われたものです。

また本研究は、科学技術振興機構(JST)地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS) (JPMJSA1706)、科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業チーム型研究(CREST)(JPMJCR13B1)、理研-名古屋大科学技術ハブ、文部科学省新学術領域研究(17H06473)、文部科学省新学術領域研究(16H06466)、科研費 若手研究(B)(16K18565)、科研費 若手研究(19K15815)、新農業展開ゲノムプロジェクト(QTL5003)の支援によって遂行されました。

この研究成果は、2020年7月15日16時付(日本時間2020年7月16日0時)の英国科学雑誌「Nature」オンライン版に掲載されました。

遺伝研の貢献
本研究で用いられた浮イネおよび野生イネは、遺伝研およびナショナルバイオリソースプロジェクト・イネ(Oryzabase)より分譲されたものです。遺伝研は当該材料のゲノム情報提供と解析で貢献しました。

詳しい資料は≫

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細胞遺伝子工学生物化学工学
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