水分摂取を抑制する脳内メカニズムを解明 ~口渇感を調節する新たな脳機能の発見~

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2020-11-10 東京工業大学,科学技術振興機構

ポイント
  • 脳内の脳弓下器官で水分摂取を抑制するコレシストキニン作動性神経細胞(CCKニューロン)を同定。
  • 2種類のCCKニューロン集団が役割を分担して、水分摂取を促す水ニューロンの活動を抑制。
  • 光遺伝学を用いて、それぞれのCCKニューロンの人為的活動制御を行い、マウスの飲水行動の制御に成功。

東京工業大学 科学技術創成研究院 生体恒常性研究ユニットの松田 隆志 特任助教、野田 昌晴 特任教授らの研究グループは、脳内の脳弓下器官(SFO)においてコレシストキニン(CCK)を分泌する神経細胞(CCK作動性ニューロン;以下CCKニューロン)を同定し、このCCKニューロンが活性化することで飲水行動が抑制されることを初めて明らかにした。

また、CCKニューロンは、体液のナトリウムイオン(Na)濃度の低下に応じて持続的に活性化する集団と、飲水行動に反応して一過性に活性化する集団の2種類が存在することを発見した。

本研究グループはこれまでにSFOにおいて飲水行動の誘導をつかさどる神経細胞(水ニューロン)および、その神経回路を明らかにしている。今回の研究成果は水ニューロンの活動が調節されるメカニズムを初めて解明したものであり、口渇感(こうかつかん)の異常に由来する水中毒や多飲症など、過剰な水分摂取により誘発される疾患の治療や予防法の確立に貢献するものと期待される。

本研究成果は、2020年11月10日(英国時間)に英国の科学誌「Nature Communications」に公開される。

本研究は、以下の支援を受けて実施した。

  • 科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)「光の特性を活用した生命機能の時空間制御技術の開発と応用」研究領域(影山 龍一郎 研究総括)における研究課題「オプトバイオロジーの開発による体液恒常性と血圧調節を司る脳内機構の解明」(研究代表者:野田 昌晴)
  • 科学研究費助成事業 基盤研究(S)「血圧上昇因子群の脳内作用機構に関する統合的研究」(研究代表者:野田 昌晴)
  • 科学研究費助成事業 研究活動スタート支援「水分摂取行動を制御する神経機構の解明」(研究代表者:松田 隆志)
  • 科学研究費助成事業 若手研究「体液状態に応じて水分摂取を制御する神経機構の解明」(研究代表者:松田 隆志)
  • 公益財団法人 武田科学振興財団 ライフサイエンス研究助成「飲水行動を制御するコレシストキニンの分泌制御機構の解明」(研究代表者:松田 隆志)

詳しい資料は≫

<論文タイトル>
“Distinct CCK-positive SFO neurons are involved in persistent or transient suppression of water intake”
DOI:10.1038/s41467-020-19191-0
<お問い合わせ先>

<研究に関することと>

野田 昌晴(ノダ マサハル)
東京工業大学 科学技術創成研究院 生体恒常性研究ユニット 特任教授

<JST事業に関すること>

保田 睦子(ヤスダ ムツコ)
科学技術振興機構 戦略研究推進部

<報道担当>

東京工業大学 総務部 広報課
科学技術振興機構 広報課

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