プルキンエ細胞の樹状突起が 軸索に対して垂直に伸びるため仕組み~βIIIスペクトリン遺伝子の重要性~

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2021-03-10 京都大学

京都大学アイセムス(物質-細胞統合システム拠点)の見学美根子教授と藤島和人助教(現大阪医科大学 医学部 助教)の研究グループは、ニューロンの膜骨格成分で、5型脊髄小脳変性症の原因遺伝子でもあるβIII スペクトリンが神経回路形成に重要な役割を果たすことを見出しました。2020年12月16日に英国学術誌 Development にて公開されました。

脳神経回路は、軸索と樹状突起と呼ばれるニューロンの延ばす突起同士の連結により構成されています。神経突起同士が複雑でありながら規則正しく連結を行うことが、神経回路が正常に機能するうえで大切なことだと考えられています。

哺乳動物の小脳では、ニューロンの一種である顆粒細胞の軸索とプルキンエ細胞の樹状突起が、整然とした3次元的な格子を形成しています。縦糸横糸のように直交しているその配列は、小脳機能に重要な役割を果たすと考えられていますが、形成メカニズムは明らかになっていませんでした。

βIII スペクトリンは細胞膜と細胞骨格の連携に関わる分子であり、その変異が脊髄小脳変性症を引き起すことが知られています。また、βIII スペクトリンの機能阻害下ではプルキンエ細胞の樹状突起の形成に異常が生じることが知られていましたが、その詳しい作用機序はわかっていませんでした。

研究グループは、人工ナノ繊維を利用し、顆粒細胞の軸索とプルキンエ細胞の樹状突起の格子構造を2次元的に再現しました。この特徴的な格子パターンは樹状突起が軸索に対して垂直方向に進展することで形成されることを示しました。

さらにβIII スペクトリンの発現を阻害することにより、樹状突起が軸索に対し垂直方向へ発達する性質が失われることを見出しました。樹状突起の成長には微小管と呼ばれる細胞骨格の発達が必要とされます。βIII スペクトリンは微小管の発達を抑制するブレーキとして働いており、その機能が失われると、微小管が異常な方向に発達することで突起が進展の方向が乱れることが示されました。

本研究で得られた知見は神経回路形成の分子機構の理解や神経変性疾患の発症メカニズムの解明に役立つ可能性があります。

イメージアート
プルキンエ細胞の樹状突起は、βIIIスペクトリンの働きにより、顆粒細胞の軸索に対して垂直に伸びる。(©高宮ミンディ/京都大学アイセムス)

書誌情報

論文タイトル:“βIII spectrin controls the planarity of Purkinje cell dendrites by modulating perpendicular axon-dendrite interactions”
(参考訳:βIIIスペクトリンは垂直な軸索と樹状突起の相互作用によりプルキンエ細胞の樹状突起の平面性を制御している)

著者:Y Kazuto Fujishima, Junko Kurisu, Midori Yamada, Mineko Kengaku

Development|DOI: 10.1242/dev.194530

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