EP2/4阻害薬による抗腫瘍作用の機序解明~新しいがん免疫治療薬の開発に向けて~

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2022-06-08 京都大学

成宮周 医学研究科特任教授(名誉教授)、タムケオ・ディーン 同特定准教授およびパンヤワタナヌクーン・シワコン 同博士課程学生らの研究グループは、免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-1抗体など)非感受性LLC1肺がんモデル動物において生理活性脂質プロスタグランジンE2(PGE2)が受容体EP2・EP4を介して、炎症反応・血管新生及び制御性T細胞(Treg)のリクルート・活性化を促進するという作用機序を明らかにしました。

また、ヒト扁平上皮肺がん、卵巣漿液性嚢胞腺がん、浸潤性乳がんおよび肝細胞がんにおいて、EP2およびEP4の発現量は、動物モデルで見出された炎症反応・血管新生関連遺伝子および制御性T細胞の動員・活性化関連遺伝子の発現量と強く相関し、予後と逆相関することを見出しました。このことから、EP2/EP4阻害薬は、これらのヒトがんに対し、炎症とTregを抑制することにより、腫瘍微小環境での免疫抑制を解除し、抗腫瘍効果を発揮する作用が考えられます。現在臨床で用いられている免疫チェックポイント阻害薬に比べて、特定のがんにおいてより効果的な治療薬となる可能性があります。EP2/4阻害薬は現在がん治療の臨床試験が世界中で行われており、本研究で得られた知見が適応がん患者の特定につながる可能性があり、試験を加速させると期待しています。

本研究成果は、2022年6月8日に、医学雑誌「Cell Reports」のオンライン版で公開されました。

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図:がんにおけるPGE2-EP2/4シグナリングの作用と作用機序の概念図

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研究者情報
研究者名:成宮 周
研究者名:THUMKEO Dean

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