有害化学物質によるペットのネコへの健康影響 ~残留性有機汚染物質への曝露が血中甲状腺ホルモンレベルを低下させ、慢性的な酸化ストレスを引き起こす。~

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2022-07-14 愛媛大学

ポイント
  • 日本のペットネコはキャットフード由来のPCBsとハウスダスト由来のPBDEsに汚染されている。
  • PCBs、PBDEsの曝露がペットネコの血中甲状腺ホルモンレベルを低下させている。
  • PCBsの曝露がペットネコに慢性的な酸化ストレスを引き起こしている。
研究の概要

愛媛大学沿岸環境科学研究センター、愛媛大学大学院農学研究科、北海道大学獣医学研究院の共同研究チームは、これまでの研究で、日本のペットネコが海産物を主原料とするキャットフードの摂餌により、慢性的にポリ塩化ビフェニル(PCBs)に曝露されていること、毛づくろい(グルーミング)によりハウスダスト中に含まれるポリ臭素化ジフェニルエーテル(PBDEs)に高曝露されていることを明らかにしてきました。しかし、それら汚染物質によるネコの健康への影響は明らかになっていません。

本研究では、日本のペットネコを対象に有機ハロゲン化合物(OHCs)曝露による健康影響に焦点を当てました。ネコ血清中PCBs、PBDEs濃度と甲状腺ホルモン濃度との間に有意な負の相関が認められ、OHCsの曝露がネコの血中甲状腺ホルモンレベルを低下させている可能性を示しました。さらに多変量解析ツールで血清中のメタボロームデータとOHCs曝露レベルとの関係を解析した結果、親化合物(PCBsおよびPBDEs)とその水酸化体(OH-PCBsおよびOH-PBDEs)の血清中残留レベルが、それぞれ独自にネコの代謝活動に影響を与えていることが明らかとなり、汚染物質により異なる毒性影響が示唆されました。とくにPCBsはグルタチオン代謝やプリン代謝を含む多くの代謝経路に影響を及ぼしていることが示され、PCBsの曝露がペットのネコに慢性的な酸化ストレスを引き起こしていることが示されました。酸化ストレスはがんや心筋こうそく、生活習慣病と深く関連しており、今後は汚染物質曝露とネコの疾病との関連についての解明が必要です。

有害化学物質によるペットのネコへの健康影響 ~残留性有機汚染物質への曝露が血中甲状腺ホルモンレベルを低下させ、慢性的な酸化ストレスを引き起こす。~

本研究の概要

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愛媛大学先端研究・学術推進機構 沿岸環境科学研究センター 准教授 野見山 桂

生物環境工学
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