細胞集団による波パターン形成の新理論を発表~力学-生化学相互作用による集団の振る舞い~

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2020-10-02 京都大学

日野直也 生命科学研究科特定助教、平島剛志 医学研究科講師らの研究グループは、Daniel Boocock Institute of Science and Technology Austria博士課程学生、Edouard Hannezo 同教授らのグループと共同で、細胞集団運動時に見られる細胞密度や分子活性状態が織りなす波状の時空間パターン形成を説明する新しい理論を提唱しました。

細胞集団が創り出す時空間パターンは生命科学のみならず非平衡物理学などの他分野でも広く関心を集めています。しかし、パターン形成における細胞の力学と細胞内の生化学反応との統合的・定量的理解は不十分でした。

本研究では細胞が生み出す機械的な力や分子活性の測定・操作技術を用いて定量的なデータを取得し、数理モデルを構築しました。数理解析により、複雑な時空間パターンを生み出す条件やパターンを特徴づける量を導出しました。さらに、細胞集団で観察される分子活性の時空間パターンが、細胞集団運動の促進に最適化されていることを理論的に提唱しました。本研究成果は、細胞に限らず能動的に運動する仕掛けを持つ物体集団の複雑流体現象の理解に寄与することが期待されます。

本研究成果は、2020年9月29日に、国際学術誌「Nature Physics」のオンライン版に掲載されました。

図:細胞集団における分子活性の波紋(左は実験観察、右はモデルのシミュレーション)

詳しい研究内容≫

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生物化学工学生物環境工学
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