2022-06-08 愛媛大学
このたび、愛媛大学大学院理工学研究科(理学系)の座古保教授らの研究グループは、医学系研究科分子病態医学講座、高知大学、筑波大学、日本電子株式会社との共同研究において、アルツハイマー病などの原因とされるアミロイドの毒性機構の一端を、インスリンアミロイドをモデルにした研究で明らかにしました。
インスリンは、高温・酸性条件下において、アミロイドとよばれるアルツハイマー病などの様々な疾患の原因とされる凝集体を形成することが知られています。アミロイドは細胞毒性を示すことで病気の原因になりますが、構造と毒性の相関は明らかになっていませんでした。これまでに座古教授らは、インスリンが毒性の異なる2つのアミロイドを形成することを見出してきました。今回、研究グループは、毒性の高いアミロイド形成過程で、タンパク質間の静電的相互作用が関与する液液相分離現象がおこっていることを、最先端顕微鏡技術を用いて見出しました。この結果は、アミロイド形成に必要な相互作用と毒性に関連があることを示しており、今後の予防・治療戦略に重要な指針を与えるものです。
本研究成果に関する論文は、2022年5月20日に英国科学誌「Scientific Reports」に掲載され、オンライン版で公開されました。
掲載誌:Scientific Reports
DOI:10.1038/s41598-022-12212-6
題名:Differences in interaction lead to the formation of different types of insulin amyloid
(和訳)相互作用の差異が異なるタイプのインスリンアミロイド形成を誘導する
著者:Wakako Mori, Ryosuke Kawakami, Yosuke Niko, Tomohiro Haruta, Takeshi Imamura, Kentaro Shiraki and Tamotsu Zako
URL:http://chem.sci.ehime-u.ac.jp/~anachem1/
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愛媛大学大学院理工学研究科(理学部化学コース) 教授 座古 保