ATM遺伝子変異による乳癌発症機構を解明~HBOC症候群の乳腺特異的発癌機構の解明に貢献~

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2023-02-09 京都大学

乳癌の5-10%は遺伝性(HBOC症候群)で、変異している遺伝子の代表はBRCA1、BRCA2です。次に頻度の高いのはATM遺伝子です。これらの遺伝子の変異が、なぜ特定臓器(乳腺)の発癌を上昇させるのか、その分子機構は不明でした。

山田真太郎 医学研究科助教、Rifat Najnin 同大学院生、武田俊一 深圳大学教授、Scott Keeney NYメモリアルスローンケタリングがん研究病院ラボヘッドらの共同研究グループは、ATMキナーゼ欠損がエストロゲン(E2)の細胞増殖刺激効果を大きく上昇させることを示しました。さらに、その分子機構を解明しました。具体的には、E2刺激時に、c-MYC発癌遺伝子エンハンサーDNA配列にゲノム切断が発生することを発見しました。ATMは、この切断の再結合を促進します。ATMが欠損し再結合が遅れると、E2曝露によるc-MYC転写因子の発現誘導がさらに亢進することを、ヒト乳癌細胞とマウス乳腺で確認しました。この亢進がATM欠損による乳腺特異的発癌の分子機構です。

外部刺激に応答して遺伝子発現が誘導されることを、early transcriptional response(早期転写応答)と呼びます。早期転写応答時に、早期転写応答に関与するエンハンサーにも切断が発生することは、新発見です。今後は、BRCA1、BRCA2がATMと同様に、この切断の再結合促進をするかを調べ、HBOC症候群の、乳腺特異的発癌機構を解明します。

本研究成果は、2022年12月30日に、国際学術誌「Cell Reports」にオンライン掲載されました。

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ATMが欠損すると、c-MYC発癌遺伝子の、エストロゲンへの早期転写応答が異常に高まる。

詳しい研究内容≫

研究者情報
研究者名:山田 真太郎

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細胞遺伝子工学
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