母親の職業上の医療用物質の使用と出生児における小児白血病との関連~子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)について~

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2023-10-06 九州大学

ポイント

  • エコチル調査の全国10万人のデータを用いて、エコチル調査九州大学サブユニットセンターは、3歳までの小児がんと両親が職業で取り扱った医療用物質の関連を調べました。
  • 3歳までの小児白血病の発生は、妊婦が抗がん剤を取り扱った場合に、そうでない場合と比較して多いという結果になり、関連がある可能性が示唆されました。
  • ただし、妊婦が抗がん剤を取り扱った方法・時期・量が明らかでない、小児白血病を発症した児の症例数が少ないといった制約があり、さらなる詳細な調査が必要です。

概要

エコチル調査福岡ユニットセンター(九州大学小児科)大学院生の山本、准教授の古賀らの研究チームは、エコチル調査の約10万人のデータを使用して、両親が職業で取り扱った医療用物質と3歳までの小児がんの関連について解析しました。その結果、乳児期までの調査では関連が明らかとならなかった小児白血病の発症に、妊婦の抗がん剤の取り扱いが関連している可能性が示されました。なお、妊婦が抗がん剤を取り扱った方法・時期・量が不明、白血病を発症した児の症例数が少ないなどの制約があり、更なる詳細な調査が必要です。
本研究の成果は、令和5年10月3日(日本時間10月4日)付で米国血液学会から刊行される血液分野の学術誌「Blood」に掲載されます。
※本研究の内容は、すべて著者の意見であり、環境省及び国立環境研究所の見解ではありません。

論文情報

タイトル(英語):Pediatric leukemia and maternal occupational exposure to anticancer drugs:
The Japan Environment and Childrenʼs Study
著者名(英語):Shunsuke Yamamoto1, Masafumi Sanefuji1,2, Maya Suzuki1, Yuri
Sonoda1,3, Norio Hamada3,4, Wakako Kato1, Hiroaki Ono1, Utako Oba1, Kentaro
Nakashima1,5, Masayuki Ochiai1,3, Koichi Kusuhara5,6, Yuhki Koga1,7, Shouichi Ohga1, and The Japan Environment and Childrenʼs Study (JECS) Group
山本 俊亮1、實藤 雅文1、2、鈴木 麻也1、園田 有里1、3、濱田 律雄3、4、加藤 稚子1、小野 宏彰1、大場 詩子1、中島 健太郎1、5、落合 正行1、3、楠原 浩一5、6、古賀 友紀1,7、大賀 正一1、JECSグループ1,2
1九州大学医学部小児科
2佐賀大学医学部小児科
3九州大学環境発達医学研究センター
4九州大学医学部産婦人科
5エコチル調査産業医科大学サブユニットセンター
6産業医科大学小児科
7九州大学大学院医学研究院 周産期・小児医療学
8グループ:エコチル調査運営委員長(研究代表者)、コアセンター長、メディカルサポートセンター代表、各ユニットセンターから構成
掲載誌:Blood
DOI: 10.1182/blood.2023021008

研究に関するお問い合わせ先

九州大学医学研究院 古賀 友紀 准教授

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