大腸がん:骨髄が転移を促進?~新しい治療法への展望~

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2023-10-27 京都大学

大腸がんは、男性で2位、女性で1位とがんによる死因の上位を占めています。その理由として、大腸がん全体の約20%を占める、治療が難しく、転移しやすい、高悪性度大腸がんの存在が挙げられます。この高悪性度大腸がんは、腫瘍の中にがん細胞以外の組織や細胞(腫瘍間質)を多く含んでいるという特徴があります。

妹尾浩 医学研究科教授、中西祐貴 同助教、尾松万悠紀 同研究員らの研究グループは、がん細胞と腫瘍間質の相互作用に着目し、トロンボスポンジン-1(THBS1)というタンパク質が高悪性度大腸がんの転移形成において重要な役割を果たすことを発見しました。さらに、このTHBS1が骨髄から呼び寄せられる細胞から分泌されていることを突き止め、骨髄が転移形成にとって重要であることを示しました。THBS1をターゲットとすることで、がんの転移を効果的に抑えることができる可能性があり、これにより転移を抑制する新たな治療法の開発への道が開かれることが期待されます。今後は、THBS1の有望な阻害治療法の開発と、さまざまながん種への応用を検討していく予定です。

本研究成果は、2023年9月25日に、国際学術誌「Nature Communications」にオンライン掲載されました。

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研究者のコメント

「がんは、早期に発見できない限りは根治が難しい病気です。特に、転移したがんの治療は限られており、多くの人の生命を脅かしています。本研究の成果が示すように、がんの進展には、がん細胞の働きだけではなく、全身的な反応が影響していることがわかってきました。このため、これからのがん研究においてはがん細胞そのものだけでなく、腫瘍間質やひいてはがん以外の場所にも視点を広げることで、より効果的な治療法の開発が可能になるのではないかと考えております。」

詳しい研究内容について

大腸がん:骨髄が転移を促進?―新しい治療法への展望―

研究者情報

研究者名:妹尾 浩
研究者名:中西 祐貴

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