2020-12-04 京都大学
藤田尚志 名誉教授(ウイルス・再生医科学研究所客員教授)、 Duic Ivana ウイルス・再生医科学研究所博士課程学生らの研究グループは、吉村成弘 生命科学研究科准教授、原田慶恵 大阪大学教授、多田隈尚史 同助教(現・上海科技大学助理教授(PI))らと共同で、細胞がウイルスRNAを効率的に認識する分子機構の一端を解明しました。
RNAウイルスによるパンデミックは、外敵から我々の体を守る仕組み(免疫系)の重要性を再認識させています。免疫系には、1度かかった病気に効果的に対処する獲得免疫(T細胞など)の他に、様々な病原体に対処する自然免疫の仕組みがあり、日々、我々の体を守っています。自然免疫系では、ウイルスが作るRNAを検出する蛋白質群(RIG-I様受容体(RLR)ファミリー)があり、複数の蛋白質が協力して細胞内のウイルスを検出し、細胞の防御システムを活性化する事が知られています。しかし、複数の蛋白質がどのように協力しているかについては、未解明な部分が残っていました。本研究グループは、複数の手法を用い、従来は、主役とみなされていなかった蛋白質(LGP2)が非常に重要な役割を果たしている事を明らかにしました。本研究の成果は、細胞をウイルスから防御する仕組みの解明のみならず、アレルギーをはじめとした自己免疫疾患などの病気の仕組み解明への寄与も期待されます。
本研究成果は、2020年11月2日に、国際学術誌「Nucleic Acids Research」のオンライン版に掲載されました。
図:本研究のイメージ図
研究者情報
研究者名:藤田 尚志