KAI2由来生理現象解明を可能にするKAI2阻害剤を発見~作物の潜在的な能力応用へ~

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2025-01-24 京都大学

植物が燃焼する際に生じる煙由来分子のカリキン(KARs)は植物の成長と発達を多面的に制御しています。しかし、KARsと植物ホルモンの一種であるストリゴラクトン(SLs)に誘導される生理現象は互いに似ているだけでなく、各々の受容体や信号伝達においても類似性が高いために、KARsの応答を解明することが困難でした。

宮川拓也 生命科学研究科准教授、中野雄司 同教授らと浅見忠男 東京大学特任研究員(兼:横浜市立大学客員教授、東京大学名誉教授)、王建文 同博士(研究当時:同博士課程学生)、高橋郁夫 同特任研究員らの共同研究グループは、KARsの受容体KAI2を選択的に阻害する最初の化合物を開発し、その結合様式を明らかにしました。このトリアゾールウレア型化合物であるKK181N1は、KAI2に非共有結合的に結合し、モデル植物であるシロイヌナズナのKARs誘導性形質を選択的に抑制することができます。この発見により、類似した作用を示すKARsとSLsの生理機能を区別することが可能となります。この化合物を応用して多様な作物におけるKAI2受容体の機能を解明することで、作物の生育を促進させたり、ストレス耐性を高めたりといった、作物の潜在的な能力を引き出すことが期待できます。

本研究成果は、2025年1月2日に、国際学術誌「Nature Communications」にオンライン掲載されました。

KAI2由来生理現象解明を可能にするKAI2阻害剤を発見~作物の潜在的な能力応用へ~
本研究で開発した化合物KK181N1の結合様式とKARs信号伝達の阻害

詳しい研究内容について

KAI2由来生理現象解明を可能にするKAI2阻害剤を発見―作物の潜在的な能力応用へ―

研究者情報

研究者名:宮川 拓也
研究者名:中野 雄司

書誌情報

【DOI】https://doi.org/10.1038/s41467-024-54801-1

【書誌情報】
Jianwen Wang, Ikuo Takahashi, Ko Kikuzato, Toshihiko Sakai, Zhangliang Zhu, Kai Jiang, Hidemitsu Nakamura, Takeshi Nakano, Masaru Tanokura, Takuya Miyakawa, Tadao Asami (2025). Identification and structure-guided development of triazole urea-based selective antagonists of Arabidopsis karrikin signaling. Nature Communications, 16, 104.

生物化学工学
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