貧血予防に新たな指針:ビタミンCが鉄分の吸収を促進するメカニズムを原子レベルで解明

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2018-08-20 兵庫県立大学,理化学研究所,島根大学,メリーランド大学,ブリティッシュコロンビア大学

趣旨
兵庫県立大学大学院生命理学研究科の澤井仁美助教と理化学研究所放射光科学研究センターの杉本宏専任研究員を中心とした共同研究グループは、大型放射光施設「SPring-8」を利用して、ヒトの鉄吸収メカニズムに関わる膜タンパク質の立体構造を世界で初めて解明しました。さらに、その立体構造に基づく機能解析により、食物に含まれるビタミンCや有機酸が鉄分の吸収効率を向上させる仕組みを原子レベルで明らかにしました。本研究の成果は、2018年8月17日付で、Nature Publishing Groupが発行する国際生物科学雑誌『Communications Biology』に掲載されました。

内容等

発表内容要旨
すべての生物の生命維持には「鉄」が必要です。ヒトの体内には、釘1本分(約5 g)の鉄がイオンとして存在し、様々な生体機能の調節に使われています。この鉄は、食物に含まれる鉄イオンを十二指腸の柔毛で吸収することで得られることは古くから知られていましたが、詳細なメカニズムは不明でした。本研究グループは、「SPring-8」を利用して、ヒトの鉄吸収メカニズムに関わる膜タンパク質の立体構造を世界で初めて解明しました。
本研究グループが解明したビタミンCやクエン酸などが鉄イオンの吸収に必須の反応を促進する仕組みは、鉄分の効率的な摂取方法や鉄代謝異常による疾病への理解につながり、世界人口の約30%(20億人以上)を苦しめる鉄欠乏性貧血の予防や治療の端緒を拓く可能性があります。
詳細
別紙のとおり
問い合わせ先
兵庫県立大学大学院生命理学研究科 助教 澤井仁美
兵庫県立大学播磨理学キャンパス経営部 次長兼総務課長 中谷忠彦
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生物化学工学
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