人間の触錯覚のメカニズムを数理皮膚科学によって解明

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世界で初めて「魚骨触錯覚の消失現象」を発見、技術開発応用への期待

2021-06-04 北海道大学,慶應義塾大学,科学技術振興機構

ポイント
  • 数理皮膚科学モデルを構築し、触覚情報処理のメカニズムを計算機実験で解明。
  • 触覚で生じる錯覚現象を活用して、その触錯覚が生じなくなる現象を世界で初めて発見。
  • インターネットを通して遠隔に触質感情報を効率良く伝達する情報技術開発への応用に期待。

北海道大学 電子科学研究所の長山 雅晴 教授、慶應義塾大学 環境情報学部の仲谷 正史 准教授らの研究グループは、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業の支援を受けて、人間の触覚による形状認識の仕組みを説明する数理モデルの構築とその検証研究を行い、触覚で生じる錯覚現象(触錯覚)を活用して、その触錯覚が生じなくなる現象を世界で初めて発見しました。

ヒト触知覚メカニズムの全容は、五感の他の感覚に比べると未解明です。私たちは手の指先で触れている物体の硬さや滑らかさ、その形を瞬時に認識することができますが、このような能力は人工知能(AI)を駆使したロボット工学でもにわかに実現することが難しいのが現状です。

本研究グループは、ヒト触覚の形状認識の仕組みを知るために、触覚で生じる錯覚現象を活用し、その触錯覚が生じなくなる現象を世界で初めて発見し、この現象を説明する数理モデルを皮膚科学・生物物理学・神経科学の知見を融合して構築しました。その結果、ヒトが指先の触覚を通じて形を認識する際には、触覚刺激の強度を反映した感覚神経活動の頻度だけでなく、多数の感覚神経活動の時間的な頻度と非同期性(タイミングのばらつき方、Temporal coherency)が形の認識に影響を与えることが分かりました。

この研究成果は、インターネットを通して遠隔に高品質な触覚情報を伝達するための基本技術の開発に役立ちます。COVID-19下で対面の応対が制限される社会状況の中でも、触覚を通じた人間同士の非言語コミュニケーションを実現する情報基盤の整備にも役立つことが期待されます。

なお、本研究成果は、2021年6月3日(木)公開の「Scientific Reports」のオンライン版に掲載されました。

本研究は、以下の事業・研究領域・研究課題の支援のもと行われました。

科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)

研究領域:「現代の数理科学と連携するモデリング手法の構築」
(研究総括:坪井 俊 武蔵野大学 特任教授)

研究課題:「数理モデリングを基盤とした数理皮膚科学の創設」
(課題番号:JPMJCR15D2)

研究代表者:長山 雅晴 北海道大学 電子科学研究所 教授

科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 個人型研究(さきがけ)

研究領域:「社会と調和した情報基盤技術の構築」
(研究総括:安浦 寛人 九州大学 理事・副学長)
※所属・役職は、活動終了時点のものです。

研究課題:「安心感の醸成と孤独感の低減をめざすEmotional Reality情報技術の確立」
(課題番号:JPMJPR16D7)

研究者:仲谷 正史 慶應義塾大学 准教授

詳しい資料は≫

<論文タイトル>
“Temporal coherency of mechanical stimuli modulates tactile form perception”
DOI:10.1038/s41598-021-90661-1
<お問い合わせ先>

<研究に関すること>
長山 雅晴(ナガヤマ マサハル)
北海道大学 電子科学研究所 教授

仲谷 正史(ナカタニ マサシ)
慶應義塾大学 環境情報学部 准教授

<JST事業に関すること>
舘澤 博子(タテサワ ヒロコ)
科学技術振興機構 戦略研究推進部 ICTグループ

<報道担当>
北海道大学 総務企画部 広報課
慶應義塾大学 湘南藤沢事務室 学術研究支援担当
科学技術振興機構 広報課

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