2026-06-16 国立成育医療研究センター
国立成育医療研究センター「妊娠と薬情報センター」は、双極症(躁うつ病)の治療薬である炭酸リチウムについて、妊婦への投与禁忌を解除すべきとする評価結果をまとめ、厚生労働省へ報告した。炭酸リチウムは双極症の再発予防や自殺リスク低減に重要な薬剤である一方、胎児への影響が懸念され、長年にわたり妊婦への投与が禁忌とされてきた。しかし近年、国内外の疫学研究の蓄積により、適切な管理下では妊娠中の使用が可能であることが示されている。今回の評価では、妊娠中に治療を中断した場合、双極症患者の80%以上で再発が報告されていることや、妊娠・出産・産後の病状悪化が母子双方に深刻な影響を及ぼす可能性が考慮された。その結果、2026年3月の厚生労働省安全対策調査会で禁忌解除の妥当性が認められ、添付文書の禁忌欄から「妊婦又は妊娠している可能性のある女性」が削除されることとなった。今後は精神科と産科・新生児科が連携し、十分な説明と慎重な管理のもとで投与を行うことが求められる。本成果は、疾患再発防止と安全な妊娠・出産・育児の両立を支援する重要な制度改正と位置付けられる。
<関連情報>

