2021-05-13 京都大学
守田昂太郎 医学研究科特定助教、松本和也 近畿大学教授らの研究グループは、マウス受精卵を用いた研究により胚発生に重要な因子を発見しました。
生命の始まりの細胞である受精卵は、受精後に全ての細胞へ分化できる能力(全能性)を獲得することで体を形作ることができるようになります。全能性を獲得するまでに、受精卵の核内ではリプログラミングと呼ばれる現象が起こり、精子と卵子由来のDNAに記録された遺伝子発現を制御するための情報がリセットされ、受精卵は新しく遺伝子発現を開始します。しかしながら、この過程の詳しい分子機構は不明な点が多いです。
本研究では、リプログラミングに関与する候補因子の中から、ごく初期の胚において未だ機能が明らかになっていないアルギニンメチル基転移酵素PRMT5とPRMT7に注目し、これらの酵素によってヒストンタンパク質(H3)の2番目のアルギニンに付加された対称性ジメチル化修飾(H3R2me2s)が、胚発生に必須とされるゲノムの活性化に重要な働きをすることがわかりました。
本研究成果は、2021年5月12日に、国際学術誌「Scientific Reports」に掲載されました。
図:本研究の概要図
研究者情報
研究者名:守田昂太郎