粘液栓の形成メカニズムに好酸球の”特殊な細胞死”が関係

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インフルエンザ関連鋳型気管支炎の治療・予防法の確立に期待

2021-05-18 国立成育医療研究センター

国立成育医療研究センター(所在地:東京都世田谷区大蔵 理事長:五十嵐隆)感染症科の宮入烈診療部長は、集中治療科の中川聡診療部長、同研究所免疫アレルギー・感染研究部の森田英明室長、秋田大学大学院医学系研究科総合診療・検査診断学講座の植木重治准教授らとともに、インフルエンザ関連の「鋳型気管支炎」における粘液栓(粘り気が非常に強く濃い痰)の形成メカニズムを明らかにしました。
「鋳型気管支炎」は、粘液栓が“鋳型”のように気管支を閉塞、呼吸不全を急速に進行させ、時に死亡することもある稀な病態です。世界中で症例報告もあり、インフルエンザの合併症の中でも最重症の病態の一つとされていますが、これまで粘液栓が形成されるメカニズムは明らかにされていませんでした。
本研究では、国立成育医療研究センターに入院したインフルエンザ関連の鋳型気管支炎患者などを対象に、粘液栓の組織像の分析、血液を用いた血球の活性化などの測定を行いました。その結果、粘液栓の中で、白血球の一種である好酸球が過剰に活性化し、特殊な細胞死(Extracellular trap cell death; ETosis)を引き起こしていることが明らかになりました。この特殊な細胞死により細胞核から放出される網状DNAは、非常に粘り気が強いことが知られていて、「鋳型気管支炎」の粘液栓形成に関係している可能性が示唆されました(図1)。今後は症例を集積し、さらに研究を進めることで「鋳型気管支炎」の治療法や予防法の確立へ結びつくことが期待されます。
本研究成果は、2021年5月12日にアメリカの医学雑誌『CHEST』で公開されました。

【図:気管支における好酸球の特殊な細胞死について】

プレスリリースのポイント

  • インフルエンザ関連「鋳型気管支炎」の粘液栓形成に、好酸球の特殊な細胞死(ETosis)が関与していることを明らかにしました。
  • 「鋳型気管支炎」は、インフルエンザに罹患した小児患者における合併症として世界中で報告されており、死亡例もあることから、粘液栓形成のメカニズムの解明が待たれていました。
  • さらに研究を進め、ETosisを引き起こす因子を明らかにできれば、インフルエンザ関連「鋳型気管支炎」の治療・予防法を確立できると期待されます。
発表論文情報

英文タイトル:Eosinophil extracellular traps (EETs) in the casts of plastic bronchitis associated with influenza virus infection
和文タイトル:インフルエンザ関連鋳型気管支炎の粘液栓における好酸球の細胞外トラップ
<著者名>
吉田美智子1),宮原瑤子2),折茂圭介3),河野直子1),成田雅美4),大矢幸弘4),
松本健治3),中川聡2),植木重治5),森田英明3),宮入烈1)
<所属>
1) 国立成育医療研究センター生体防御系内科部感染症科
2) 国立成育医療研究センター手術・集中治療部 集中治療科
3) 国立成育医療研究センター 研究所 免疫アレルギー・感染研究部
4) 国立成育医療研究センター アレルギーセンター
5) 秋田大学大学院医学系研究科 総合診療・検査診断学講座
掲載誌:CHEST
DOI:10.1016/j.chest.2021.05.001.

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