衣類に織り込んでガスを検出するスマートな繊維を開発

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 (That’s “sew” smart! Scientists invent threads to detect gases when woven into clothing)

2019/4/4 アメリカ合衆国・タフツ大学

衣類に織り込んでガスを検出するスマートな繊維を開発

Figure 1

・ タフツ大学が、ガスを検出すると色が変わるセンサーとして機能する、化学物質反応性色素処理した織糸を作製する技術を開発。
・ 50ppm の極微小粒子を検出する同織糸の色の変化は目視で確認できるが、スマートフォンのカメラを使用すればさらに正確に把握できる。このような織糸で作製した衣類は、医療現場、職場や軍事、救助等で、洗濯して再利用できる手頃な安全ツールとなる。
・ 揮発性ガスの検出で一般的に利用される電子デバイスの精度を代替するものではないが、テキスタイルへのガス検出機能の統合により機器使用やそのためのトレーニングが不要となることで、労働者や財源不足のコミニュティーが容易に入手して利用できる技術と考える。
・ 本研究では、マンガンベースのテトラフェニルポルフィリン(MnTPP)、メチルレッド(MR)およびブロモチモールブルー(BTB)の色素を使用してセンサー機能を概念実証。MnTPP と BTB はアンモニアを、 MR は塩化水素を検出する。これらのガスはクリーニング用品や化学物資の生産において排出される。
・ 3 段階のプロセスで織糸に色素を閉じ込める。まず織糸を色素に浸し、次に酢酸で処理して織糸の表面を粗くして繊維を膨張させ、染料と織糸の間の結合相互作用を促進し、最後にポリジメチルシロキサン(PDMS)で処理して織糸と染料を封じ込めるシーリングを作る。
・ フレキシブルなこのシーリングは疎水性で洗濯による色素の浸出を防ぐ一方で、PDMS はガスを浸透させるため、分析対象物が反応性色素に届く。水に溶けたアンモニアを水中で検出することも可能。スマートなファブリックとして石油・天然ガス堀削での CO2 や揮発性有機化合物検出に利用できる。色素は洗濯や水中で利用しても希釈せず、定量化の可能な検出を継続して実施できる。
・ 分光法での測定と同様に、織糸に閉じ込めた色素の色がガス濃度に比例して変化。スマートフォンによるガス検出と色の変化の定量化や複数の織糸と色素を使用したカラーシグネチャの読み取りも可能なため、検出をスケールアップして多数の分析対象物の同時測定や比色による特定もできると考える。
・ 本研究には、米国科学財団(NSF)の Institutional Graduate and Research Traineeship(DGE1144591) for R.O.が資金を提供した。
URL: https://now.tufts.edu/news-releases/s-sew-smart-scientists-invent-threads-detectgases-when-woven-clothing

(関連情報)
Scientific Reports 掲載論文(フルテキスト)
Colorimetric Gas Sensing Washable Threads for Smart Textiles
URL: https://www.nature.com/articles/s41598-019-42054-8

有機化学・薬学
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