「青いキク」が誕生

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農研機構野菜花き研究部門は、サントリーグローバルイノベーションセンター(株)と共同で、「青いキク」の開発に成功しました。色素を修飾する2種類の遺伝子をキクに導入することで、花弁を青色にしました。本成果により、花色のバリエーションが拡がり、キクの高付加価値化、新たな用途の提案が可能になり、花き産業の発展に貢献できます。

キクは日本の切り花出荷量の40%を占める重要な花きです。キクには黄・赤など様々な花色がありますが、青紫や青といった花色はなく、青いキクの開発が望まれていました。キクには青い花をもつ近縁野生種が存在しないため、交配など従来の品種改良法では青いキクの開発は困難でした。そこで農研機構はサントリーと共同で、遺伝子組換え技術を用いて、青いキクの開発を目指しました。2013年には青紫色のカンパニュラの色素修飾遺伝子を働かせることで、目標とする色素をほぼ100%持つキクを開発しましたが、その花色は紫色でした。より鮮やかな青色を目指してさらに研究を進め、今回、「青いキク」の開発に成功しました。

本成果では、当初用いたカンパニュラの遺伝子に加え、青いチョウマメから取り出した別の色素修飾遺伝子を働かせることにより、花色を青色に改変できました。なお、導入した2種類の遺伝子の働きで新たに花弁に蓄積した色素は青紫色ですが、キクが元々もっていた無色の物質と共存することで、青色を発色していました。
既に農研機構では、デコラ咲き、ポンポン咲きなど様々なタイプの青いキクを開発しています。遺伝子組換え植物である青いキクの国内での栽培・販売に向けて、野生種との交雑による生物多様性影響リスクを低減するための研究開発を進めています。

発表論文
Generation of blue chrysanthemums by anthocyanin B-ring hydroxylation and glucosylation and its coloration mechanism.
雑誌名 Science Advances 3, e1602785
著者 野田尚信1, 能岡智1, 岸本早苗1, 中山真義1, 道園美弦1, 田中良和2, 間竜太郎1
所属 1農研機構野菜花き研究部門,2サントリーグローバルイノベーションセンター研究部
DOI番号 10.1126/sciadv.1602785
関連情報 予算:科研費若手研究(B)21780033、挑戦的萌芽研究24658035、運営費交付金
特許:特許第5697040号、特許第5697041号、PCT/JP2016/069536
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