トウキョウサンショウウオ北部集団を「イワキサンショウウオ」として新種記載~日本産小型サンショウウオ類の種多様性の全容解明とさらなる保全対策に向けて~

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2022-08-24 京都大学

松井正文 名誉教授、西川完途 地球環境学堂准教授(兼:人間・環境学研究科准教授)、吉川夏彦 国立科学博物館研究員らの共同研究グループは、種の保存法指定種であるトウキョウサンショウウオの種内変異を詳細に調べた結果、分布北部の個体群が未記載種であることを示して、新種「イワキサンショウウオ」として発表しました。

トウキョウサンショウウオは2020年に種の保存法の特定第二種に指定され、商業目的の捕獲や販売が禁じられていますが、種内に大きな遺伝的・形態的変異を含んでいることは以前から知られていました。本研究では、特に遺伝的に大きく異なることが知られていた分布域の北東部の集団(茨城県および福島県)と他の地域の集団との間の関係を核DNAの分析および外部形態の解析により比較しました。その結果、北東部の集団は遺伝的、形態的に真のトウキョウサンショウウオとは別種レベルで異なることが明らかとなり、これをイワキサンショウウオ(Hynobius sengokui)として新種記載(命名)しました。

さらに本研究では核DNAを用いた分子系統解析により、(広義の)トウキョウサンショウウオが東日本でトウホクサンショウウオから種分化した後、現在東海地方に分布する近縁種(ヤマトサンショウウオ)と過去に交雑を起こした可能性も明らかにしました。このことは長年の謎であったトウキョウサンショウウオの系統的位置と分布の問題を解決するとともに、日本列島における小型サンショウウオの進化史の一端を明らかにするものです。

イワキサンショウウオも含めた広義のトウキョウサンショウウオは、以前から生息場所となる里山の湿地環境の劣化やアライグマ等の外来種による捕食の影響の他、飼育・販売目的の乱獲により生息が脅かされてきました。本研究により広義のトウキョウサンショウウオが2種に分割されたことで、今後は両種の絶滅リスクの再評価と保全に向けた活動が求められます。

本研究成果は、2022年7月21日に、国際学術誌「Zootaxa」にオンライン掲載されました。

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写真 イワキサンショウウオの写真(国立科学博物館所蔵のパラタイプ)

詳しい研究内容≫

研究者情報
研究者名:西川 完途

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生物化学工学
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