日本発のアプローチ「うま味」を活用した減塩インパクト

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2023-03-20 東京大学

発表のポイント
◆ 日本において、様々な食品中の食塩相当量(ナトリウム)をおいしさを損なわない程度まで「うま味」成分で置き換えた場合のインパクトを評価しました。
◆ 楽観的なシナリオにおいて、成人 1 日あたりの食塩摂取量(ナトリウムから換算した食塩相当の摂取量、以下食塩摂取量とする。)は 22.3%の削減が期待できました(10.0g から 2.2g 減)。世界保健機関が推奨する 1 日あたりの食塩摂取量 5g の達成率は、現在の 2.8%から最大で 7.6%、さらに国民健康づくり運動「健康日本 21(第二次)」で推奨される国民 1 日あたりの食塩摂取量の平均値 8g の達成率も、28.7%から 59.7%へ上がると推定されました。
◆ 「うま味」は、日本の食文化を支える重要な味覚であるとともに、世界的にも「UMAMI」と呼ばれ認知されつつあります。本研究成果は、世界に蔓延する様々な慢性疾患に対応する方法として、日本発の「うま味」の可能性を示す新たなデータを提供するものです。


「うま味」活用前後の日本人の食塩摂取量の分布

発表概要
東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学分野の野村周平特任助教らの研究グループは、日本発の「うま味」には、成人における 1 日あたり食塩摂取量に対し、22.3%もの減塩インパクトが期待できること明らかにしました。
ナトリウム(食塩相当量)の摂りすぎは、多くの慢性疾患の世界的な蔓延に大きく寄与しています。2019 年には世界で約 190 万人の死亡が高ナトリウム摂取を原因とし、その人数は 30 年間で 40%もの増加が観測されています。2013 年の世界保健総会において、世界保健機関(WHO)加盟国は 2025 年までに食塩摂取量を 30%削減することで合意しましたが、2022 年時点で達成した国は一か国もありません。
日本人は一般的に他の国の人々よりも食塩を多く摂取しているとされます。政府は、「健康日本 21」と呼ばれる 10 年間の国民健康づくり運動(第二次)において、2023 年までに日本人の 1 日の食塩摂取量の平均値を 8g に減らすことを目指していますが、2019 年の最新のデータによると、日本人の平均食塩摂取量 10g を超えており、この目標値を上回っています。現在の傾向が続く限り、この目標も達成されないでしょう。
これに対し、グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸に代表される「うま味」成分を塩分代替物として利用することが、健康的で自然な食塩削減方法として広く提案されています。日本料理においては、「うま味」は一般的であり、古典的な 4 つの味(塩味、甘味、苦味、酸味)に加えて、日本の科学者が 1908 年に発見した第 5 の味として、世界的には「UMAMI」として知られています。 本研究成果は、世界に蔓延する様々な慢性疾患に対応する方法として、日本発の「うま味」の可能性を示す新たなデータを提供するものです。

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生物化学工学
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