細胞核内のクロマチンの物理的性質

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2021-04-06 国立遺伝学研究所

Physical nature of chromatin in the nucleus

Kazuhiro Maeshima, Shiori Iida, and Sachiko Tamura

Cold Spring Harbor Perspectives in Biology The Nucleus (2nd edition) 2021 April 5 DOI:10.1101/cshperpsect.a040675

ゲノム情報は、DNAの長い鎖にコード化され、折りたたまれてクロマチンとして小さな核に保存されています。核クロマチンは、DNA、ヒストン、およびさまざまな非ヒストンタンパク質で構成される負に帯電したポリマーです。クロマチンは非常に帯電しているため、周囲の環境(陽イオン、分子混雑など)によってその構造は大きく異なります。
過去10年間に開発された生細胞内のクロマチンを理解するための新しい技術によって、クロマチンorganizationの捉えかたは、規則的で静的なものから、より不規則でダイナミックに動くものへと劇的に変化しました。また、このクロマチンの動きは陽イオン、クロマチン結合タンパク質、転写装置など、細胞内の様々な因子で規定されており、この動的な性質が、ゲノムDNAの様々な機能に重要であることがわかってきました。
本論考ではゲノミクスと高度なイメージング研究からの新しい証拠に基づいて、混雑した核環境におけるクロマチンの物理的性質とそれがどのように調節されているかについて論じました。Cold Spring Harbor Perspectives in Biologyでオンライン出版され、モノグラフ「The Nucleus」第二版の第9章としても出版されます。国立遺伝学研究所・ゲノムダイナミクス研究室の前島一博 教授、飯田史織 総研大生、田村佐知子 テクニカルスタッフの共同成果です。

文部科学省科研費 学術変革領域A「ゲノムモダリティ」(20H05936)、科学技術振興機構 (JST) 戦略的創造研究推進事業 (CREST) (JPMJCR15G2)、武田科学振興財団、上原記念生命科学財団の支援を受けました。

Figure1

図:(A)クロマチンは陽イオン濃度や周囲の分子の混雑具合によって大きく構造を変化させる。生理的条件下では、クロマチン線維は溶けたような構造になる(メルト構造)。細胞内のクロマチンはこの溶けた構造をとると考えられる。(B) 細胞内のクロマチンの単純化した模式図。ヌクレオソーム、10-nm線維、クロマチンドメイン、コンパートメント、染色体と階層構造を形成するが、局所的に大きく揺らぎダイナミックに変化しうる。

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