染色体の誤った結合を”ふるい落とす” 染色体数を正確に保つための新たなしくみの発見

ad

2021-05-17 国立遺伝学研究所

染色体数が細胞分裂を通じて正確に保たれるには、紡錘体上で染色体が微小管と正しく結合する必要があります。東北大学加齢医学研究所・分子腫瘍学研究分野の家村顕自助教、田中耕三教授らの研究グループは、国立遺伝学研究所の夏目豊彰助教・鐘巻将人教授、畿央大学の前原佳代子教授と共同して、染色体オシレーションとして知られている染色体の紡錘体上での反復運動が、染色体と微小管との誤った結合を解消することで、染色体が不均等に分配されるのを防いでいることを明らかにしました。がん細胞株では正常細胞株と比較して染色体オシレーションが減弱しており、このことが多くのがん細胞で見られる染色体異常の一因ではないかと考えられます。

本研究は、日本学術振興会科学研究費補助金、文部科学省科学研究費補助金、NIG-JOINT、武田科学振興財団医学系研究助成金、上原記念生命科学財団研究奨励金、かなえ医薬振興財団研究助成金、艮陵医学振興会研究助成金の支援を受けて行われました。

本研究成果は、5月14日に学術誌Journal of Cell Biology誌に発表されました。

染色体の誤った結合を”ふるい落とす” 染色体数を正確に保つための新たなしくみの発見

図: 染色体オシレーションによる動原体と微小管の誤った結合の解消 (左)動原体が紡錘体極に近づくと、Hec1が紡錘体上のAurora Aによってリン酸化され、誤った結合が解消される。(右)がん細胞では染色体オシレーションが減弱しているため、誤った結合が解消されず、染色体の不均等な分配が起こる。

Chromosome oscillation promotes Aurora A-dependent Hec1 phosphorylation and mitotic fidelity

Kenji Iemura, Toyoaki Natsume, Kayoko Maehara, Masato T. Kanemaki, Kozo Tanaka

Journal of Cell Biology 220 , e202006116 (2021) DOI:10.1083/jcb.202006116

詳しい資料は≫

細胞遺伝子工学
ad
ad
Follow
ad
タイトルとURLをコピーしました