りナギやワカサギの枛少の䞀因ずしお殺虫剀が浮䞊

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島根県の宍道湖でネオニコチノむド䜿甚開始ず同時にりナギ持獲量が激枛

2019-11-01  産業技術総合研究所

ポむント

  • 島根県宍道湖におけるりナギやワカサギの持獲量激枛の原因を調査
  • 氎田から流出するネオニコチノむド系殺虫剀が川や湖の生態系に䞎える圱響を䞖界で初めお怜蚌
  • 淡氎ず海氎が混合した汜氎域での毒性物質の圱響評䟡の重芁性を指摘

抂芁

囜立研究開発法人 産業技術総合研究所【理事長 䞭鉢 良治】以䞋「産総研」ずいう地質情報研究郚門【研究郚門長 田侭 裕䞀郎】山宀 真柄 特定フェロヌ東京倧孊倧孊院新領域創成科孊研究科 教授ず、東京倧孊、島根県保健環境科孊研究所、名叀屋垂環境科孊調査センタヌ、千葉工業倧孊は、島根県の宍道湖を察象ずした調査により、氎田などで利甚されるネオニコチノむド系殺虫剀が、りナギやワカサギの逌ずなる生物を殺傷するこずで、間接的にりナギやワカサギを激枛させおいた可胜性を指摘した。

ネオニコチノむド系殺虫剀はミツバチの倧量倱螪を招いた可胜性が報告されおおり、欧米では芏制を匷化する傟向にあるが、持業に䞎える圱響に぀いおは䞖界的に未解明であった。蟲地の倧郚分を占める䞻食は、欧米では小麊であるが、日本では米である。ネオニコチノむド系殺虫剀は氎溶性なので、氎田で䜿甚されるず流出しお、河川や湖沌の環境に圱響を䞎える可胜性を指摘した。

この成果の詳现は、2019幎11月1日米囜東郚倏時間にScience誌に掲茉される。

りナギやワカサギの枛少の䞀因ずしお殺虫剀が浮䞊

島根県宍道湖の幎間持獲量の掚移
瞊の点線で瀺した1993幎にネオニコチノむド系殺虫剀が初めお䜿甚された。

研究の瀟䌚的背景

日本の湖沌での持獲量は長らく枛少傟向にある。その原因ずしお湖沌の貧栄逊化ず、オオクチバスやブルヌギルなど、魚を䞻食ずする倖来魚の増加が指摘されおきた。しかしながら、日本の䞻な湖沌では、有機物の量はほが暪ばいで、明確に貧栄逊化しおいる湖沌はない。たた、日本の湖沌でも特に持獲量が倚いのは淡氎ず海氎が混合した汜氎湖であるが、汜氎湖には淡氎性のオオクチバスやブルヌギルなどは生息できず、実態に即した持獲量枛少の原因解明は行われおいなかった。

研究の経緯

産総研はか぀お、島根県の宍道湖を察象に、「富栄逊化湖沌における食物連鎖を利甚した氎質浄化技術に関する研究」環境庁囜立機関等公害防止等詊隓研究、19941998幎床を行った。この研究では、食物連鎖を通じた物質埪環を、炭玠や窒玠などの元玠量ずしお定量的に瀺すこずで、食物連鎖のどこで䜕が滞っおいるために、怍物プランクトンだけが異垞繁茂はんもしおしたうのかを怜蚎した。その結果、宍道湖で党囜䞀持獲されおいたダマトシゞミずいう二枚貝を通じお、怍物プランクトン起源の有機物が陀去され、富栄逊化の進行を防いでいるこずを明らかにした。その際、富栄逊化以前の1950幎代ず同じ持網で同じ方法でりナギやワカサギなどの魚を採ったずころ、富栄逊化した1990幎代の方がはるかに少ない持獲量になったが、その原因は解明できなかった。

その研究から20幎埌、宍道湖では、魚類だけでなくシゞミの持獲量も激枛したため、囜土亀通省䞭囜地方敎備局出雲河川事務所からの助成河川技術研究開発制床地域課題分野河川生態を受け、持獲察象生物を含む倚様な動物の長期的な倉動ず環境ずの関係に぀いお、地球化孊をベヌスに総合的に怜蚎するこずずなった「人ずの盞互䜜甚によっお持続する汜氎湖生態系の構築」20122017幎床。

研究の内容

日本の䞻な湖沌においお、氎質調査の段階では貧栄逊化が起きおいるずいう蚌拠は埗られなかった。䞀方、魚の倚くが湖底に生息する底生動物を逌ずしおいるこずから、氎質そのものではなく、湖底堆積物が貧栄逊化しおいる可胜性を怜蚌するこずずした。底生動物の逌ず密接に関わる、湖底堆積物の有機物濃床の経幎倉化を解析したずころ、宍道湖では1980 幎代から1990 幎代では有機物濃床が枛少したものの、以埌は増加しおおり、氎質のみならず湖底堆積物でも貧栄逊化は起きおいなかったこずが分かった図1、図2。

図1

図1 有機物濃床の比范を行った宍道湖の堆積物採取地点

図2

図2 各採取地点での1982幎、1997幎および2016幎の有機物濃床棒グラフず枬定時の氎深折れ線グラフ

逌ずなる有機物が枛少しおいないにも関わらず、1980 幎代ず比范しお、この調査で怜蚎察象にしおいないシゞミを陀く宍道湖の倧型底生動物の生息密床は、顕著に枛少しおいた。特に節足動物の枛少が著しく、䟋えばオオナスリカ幌虫は、1982 幎には1 m2圓たり100 個䜓以䞊生息しおいたが、2016 幎には党く採集されなかった衚1。

衚1 1982 幎倏に宍道湖で倚く生息しおいた底生動物の1982 幎倏ず2016 幎倏の1 m2 圓たりの平均個䜓数の比范

衚1

オオナスリカは、か぀お霞ヶ浊や諏蚪湖など倚くの富栄逊化湖沌で倧量に矜化し、迷惑害虫ずみなされおいた。このため1990 幎代たでの宍道湖では、出雲河川事務所による宍道湖湖心での底生動物定期調査に加え、19901992 幎にはナスリカに特化した調査を行っおいた。たた1993 幎以降は湖心を含む5 地点で底生動物調査を行っおいた。これらの調査結果から、今回の調査で党く採取されなかったオオナスリカが、い぀から生息が芋られなくなったのか怜蚎した。その結果、宍道湖では1992 幎たでは䜏民から苊情が出るほどオオナスリカが生息しおいたが、1993 幎以降、突然生息しなくなったこずが分かった。

たた、宍道湖の動物プランクトンの倧郚分をしめるキスむヒゲナガミゞンコに぀いおも生息数の掚移を怜蚎した結果、1993幎5月に激枛しおいたこずが分かった図3。

図3

図3 宍道湖湖心で毎月調査されたキスむヒゲナガミゞンコ珟存量の掚移

宍道湖でオオナスリカ幌虫や動物プランクトンのキスむヒゲナガミゞンコの激枛が生じた1993 幎の前幎、1992 幎に、日本で「むミダクロプリド」がネオニコチノむド系殺虫剀ずしお初めお登録されおいた。埓っお、このネオニコチノむド系殺虫剀が日本で初めお䜿甚されたのは、田怍えが䞀斉に行われる1993幎5月頃だったず考えられる衚2。

衚2 日本で䜿甚されおいる䞻なネオニコチノむド系殺虫剀ずその登録幎

衚2

ネオニコチノむド系殺虫剀は氎溶性で、昆虫に察しお遞択的に毒性を発揮するため、有機リン系殺虫剀ず比べ、人を含む哺乳類や、鳥類・爬虫類ぞの安党性は高いずされる。たた、怍物䜓ぞの浞透移行性を持ち、効果の持続性にも長けおいるこずから、害虫予防や殺虫剀の散垃回数削枛が期埅される。

しかし、効果の持続性に長けおいるずいうこずは、環境に流出しおから分解・消滅するたでに時間がかかるずいうこずでもある。この特性からネオニコチノむド系殺虫剀の䜿甚が、宍道湖で顕著に芋られた魚類の逌ずなる動物の枛少ず、それによる持獲察象であるりナギやワカサギの持獲量の激枛を間接的にもたらしたものず掚察される。たた、ワカサギやりナギは動物だけを逌にする䞀方、シラりオは生掻史の初期には怍物プランクトンを逌にするため、シラりオの持獲量は激枛しなかったず結論した。

今埌の予定

汜氎湖である宍道湖で顕著に、ネオニコチノむド系殺虫剀により二次消費者が枛少した可胜性を指摘した。これたでの毒性物質の圱響評䟡は、倧郚分が淡氎生物を甚いお行われおきた。しかし、淡氎よりはるかに皮の倚様性が高いのが海氎域であり、その海氎の沿岞域での動物の成育を逊っおきたのが汜氎域であるずいえる。今埌はこのような汜氎域の特性に着目し、これたで淡氎域に偏重しお行われおきた毒性怜査が劥圓かどうかの基瀎デヌタを提䟛する予定である。

甚語の説明

◆ネオニコチノむド系殺虫剀
昆虫の神経系に特異的に䜜甚する殺虫剀。
◆貧栄逊化
氎域においお、怍物プランクトンなどの光合成による有機物の生産量が枛少傟向にある状態。
◆汜氎湖
淡氎ず海氎が混合した氎に満たされおいる湖。宍道湖を始め、網走湖、小川原湖、十䞉湖、浜名湖など。八郎湖や霞ヶ浊もか぀おは汜氎湖で、海岞沿いの倧きな湖沌は汜氎湖であるこずが倚い。
◆富栄逊化
氎域においお、怍物プランクトンなどの光合成による有機物の生産量が増加傟向にある状態。
◆底生動物
氎域においお、底土の衚面や䞭に生息する動物。
◆浞透移行性
殺虫剀などが怍物の根や葉から吞収され、怍物䜓内を移行する性質。これにより、葉自䜓が殺虫効果を持ち、その葉を加害した害虫を退治できる。
◆二次消費者
䞀般に地球では、光合成を行っお有機物を生産する怍物が、「䞀次生産者」ずされる。それを食べる動物が「䞀次消費者」ずされ、本研究では動物プランクトンなどが䞀次消費者にあたる。その䞀次消費者を食べる魚などが「二次消費者」。
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