2020-05-18 京都大学
鈴木志穂 医学部学生、木村亮 医学研究科助教、萩原正敏 同教授、前川真吾 情報学研究科助教らの研究グループは、注意欠如・多動症(ADHD)の主な治療薬であるメチルフェニデートとアトモキセチンが、脳での働きや行動への影響についてそれぞれ異なることを見出しました。
ADHDは不注意や多動、衝動性を特徴とし、近年増加傾向にあると言われています。その一方、治療薬の作用メカニズムには不明な点が多く残っています。そこで本研究では、ゼブラフィッシュを用いてADHD治療薬の脳や行動への影響を調べました。その結果、2つの薬剤で相反する不安様の行動がみられ、さらに脳では相反する挙動を示す共通の遺伝子群がみつかりました。このような遺伝子の多くは脂質代謝に関わっていました。これらの知見は、今後のADHD治療薬の開発や使用を考える上で手がかりとなることが示唆されます。
本研究成果は、2020年5月6日に、国際学術誌「Molecular Brain」のオンライン版に掲載されました。
図:本研究のイメージ図