新規ウイルス門の発見~ヘルペスウイルスの起源の解明に寄与~

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2023-04-20 京都大学

ヒトの病原体として、あるいは微生物の寄生体として数多くの二本鎖DNAウイルスが知られています。孟令杰 化学研究所特定研究員、緒方博之 同教授らは、フランスの原子力庁、国立科学研究センター、パスツール研究所等との国際共同研究により、「門」レベルの新たなウイルス分類群を発見しました。

二本鎖DNAウイルスの多くは2つの分類群に分けられます。その2つの分類群は、デュプロドナウイルス域とバリドナウイルス域です。本研究により新たに発見されたミルスウイルスは、両グループの特徴を示すキメラ状のゲノムを有していました。ウイルス粒子構造に関わる遺伝子は、ヘルペスウイルスを含むデュプロドナウイルス域に特徴的で、遺伝情報の発現に関わる遺伝子は、バリドナウイルス域に属する巨大ウイルスの特徴を示していました。また、ミルスウイルスは微細藻類などのプランクトンを推定宿主とする海洋ウイルスの主要なグループであることも示されました。本研究により、プランクトンを宿主とするミルスウイルスの祖先からヘルペスウイルスが進化してきたこと、二本鎖DNAウイルスの初期進化においてウイルス間遺伝子水平伝播が重要な役割を果たしたこと、この2つの可能性が示唆されました。

本研究成果は、2023年4月20日に、国際学術雑誌「Nature」にオンライン掲載されました。

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研究者のコメント
「海洋に広く分布するミルスウイルスの発見は、ウイルス進化学における長年のギャップを埋めるだけでなく、ウイルスの多様性の探索に新たな可能性をもたらしました。今後も、未知のウイルスの発見が期待されます。また、今回の結果から、バイオインフォマティクスがウイルス学、進化学、生態学において重要な役割を果たせることが明確に示されました。バイオインフォマティクスを適切に活用することで、私たちが、地球上に存在するウイルスをより深く理解できるよう、一層努力したいです。」(孟令杰)

詳しい研究内容≫

研究者情報
研究者名:緒方 博之

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生物化学工学
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