ダウン症・自閉症関連タンパク質キナーゼDYRK1Aの抑制因子の発見~FAM53Cタンパク質はDYRK1Aに結合して活性を低下させる~

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2023-11-24 京都大学

ダウン症候群はヒトの第21番染色体が通常より1本多く存在することで発症する先天性疾患です。ダウン症は新生児で最も多い遺伝子疾患でありかつ最も頻繁にみられる精神遅滞の原因です。第21番染色体にコードされているDYRK1Aというタンパク質キナーゼはダウン症のさまざまな症状に深く関与し、またDYRK1Aの機能異常は自閉症スペクトラム症候群の原因ともなることが知られています。

この度、宮田愛彦 生命科学研究科助教と西田栄介 同教授(現:理化学研究所チームリーダー)は、細胞内タンパク質相互作用の大規模解析をもとに、DYRK1Aと結合するこれまで機能の知られていなかったタンパク質FAM53Cを同定しました。また、FAM53CがDYRK1Aのタンパク質キナーゼ活性を抑制し、DYRK1Aを細胞質に留める働きを持つことを発見しました。本研究成果は、精神神経系の正常な発達・機能に重要な役割を果たすDYRK1Aの細胞内の調節メカニズムの一端を明らかにし、これらの疾患の原因と多様な症状の分子レベルでの解明につながると期待されます。

本研究成果は、2023年10月6日に、国際学術誌「Life Science Alliance」にオンライン掲載されました。

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研究者のコメント

「ダウン症候群・自閉症スペクトラム症候群をはじめとするさまざまな精神神経系疾患の原因となるタンパク質キナーゼDYRK1Aに結合してその活性・局在を制御するFAM53Cタンパク質を同定しました。本研究成果が将来いつの日か、これらの疾患の発症予防・治療の助けにつながる事を期待しています。非常に複雑なヒトの脳の発達・活動が分子のレベルで調節されていることに興味をもっており、さらに研究を進展させたいと考えています。」(宮田愛彦)

詳しい研究内容について

ダウン症・自閉症関連タンパク質キナーゼDYRK1Aの抑制因子の発見―FAM53Cタンパク質はDYRK1Aに結合して活性を低下させる―

研究者情報

研究者名:宮田 愛彦

書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.26508/lsa.202302129

【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/286176

【書誌情報】
Yoshihiko Miyata, Eisuke Nishida (2023). Identification of FAM53C as a cytosolic-anchoring inhibitory binding protein of the kinase DYRK1A. Life Science Alliance, 6(12):e202302129.

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