日本のがん罹患数・率の最新全国値公表 2014年がん罹患数86.7万例

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2018-09-15 国立研究開発法人国立がん研究センター

国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター(センター長:若尾文彦)は、厚生労働科学研究費補助金「都道府県がん登録の全国集計データと診療情報等の併用・突合によるがん統計整備及び活用促進の研究」研究班(研究代表者:松田智大)が、「地域がん登録」データを活用し2014年に新たにがんと診断された罹患数・率として算出した全国値を、冊子に編集・公表しました。

集計の結果、2014年の1年間にがんと診断された症例の全国値は、男501,527例 女365,881例 男女計 867,408例でした。また、人口10万対の年齢調整罹患率は、男429.4 女300.7 男女計 354.6 (前年比+3.5)となりました。

「地域がん登録」は、都道府県のがん対策を目的に1950年代より一部の県で開始され、研究班が各地域がん登録からデータを収集する活動を開始して以降、年々参加都道府県が増加し、地域がん登録の標準化と精度向上を促進してまいりました。本研究班は、2013年に引き続き47全ての都道府県から情報を収集することに成功したことから、2014年は47都道府県を合計した値(合計値)を算出しました。

今回の全国値は、ほとんどの地域が国際精度基準を満たしたことから、高精度地域の罹患数を死亡統計によって補正した推計値ではなく、本来あるべき実測値の合計(合計値)を採用しました。前回から、「全国がん登録方式」でのデータ処理方法に移行したことで、合計値は、より真の罹患数に近いと想定され、国際比較が可能です。また、データ精度の向上に伴い、これまでの26部位を、詳細87部位(ICD10コードの3桁)に拡大した集計を提示することもできました。

2014年集計結果のポイント

  • 2014年の1年間にがんと診断された症例の推計数は、男501,527例 女365,881例 男女計 867,408例と、2013年の男女合計値 計848,830例より増加しました。(2014年合計値:報告書60ページ 報告書表30)
  • 人口10万対の年齢調整罹患率は男429.4 女300.7 男女計 354.6 と、2013年の男女計351.1より増加しました。(2014年合計値:報告書60ページ 報告書表30)
  • 部位別に罹患数を見ると、男性は胃、肺、大腸、前立腺、肝の順で多く、女性は乳房、大腸、胃、肺、子宮の順でした。(報告書80ページから81ページ 報告書図3、4)
  • 昨年に引き続き、全都道府県が国内精度基準を満たし、県間比較可能です。このうち、41県が国際精度基準を満たしました(総人口の80.2パーセントに相当)。
    登録の精度指標は、年々着実に向上し、DCOパーセント(病院からの届出がなく死亡診断書のみで把握されている症例の割合)は6.4、合計値は昨年までの方法での推計値とも大きな差がありません。(図1)
  • 今回の合計値算出には、昨年に引き続き全国がん登録のデータ処理方法を多くの都道府県で採用しました。前々回の2012年のデータに比較してこのことによる罹患数の増減があります。
  • データ精度の向上の伴い、これまでの26部位を、詳細87部位(ICD10コードの3桁)に拡大した集計を提示することもできました。(図2、3 報告書74ページから75ページ)

解説

(1)がん登録に基づく統計について

がん登録に基づく統計は、がん対策の基礎となるものですが、実測値がなかったことが大きな課題でした。いくつかの「地域がん登録」では、自県施設の自県住民のデータのみを収集しているため他県受診の場合の把握は完全ではありませんでしたが、日本のがんの実態把握として十分に精度の高いものです。2018年に予定されている「全国がん登録」の罹患数公表に先駆けて、移行期にふさわしい、国の特性や地域差を観察できる、信頼性の高い統計値を算出することができました。

(2)地域がん登録について

「地域がん登録」は、都道府県のがん対策を目的に1950年代より一部の県で開始されました。研究班が各地域がん登録からデータを収集する活動を開始して以降、年々参加都道府県が増加し、2010年は30県、2011年は40県、2012年には初めて47都道府県の登録データが揃いました。

(3)集計方法について

2015年度から、全国がん登録データと連携した都道府県がんデータベースシステムが運用され、死亡票の取り扱いや遡り調査の実施方法、罹患日の定義、全国照合の実施など、全国がん登録での方式に準拠した集計が進められています。届出の増加も踏まえ、MCIJ2014の合計値は2014年の真の罹患数に近いと想定され、2016年罹患症例以降の全国がん登録の集計方法とほぼ同じになりました。

公開ウェブサイト

がん情報サービス

図1 主要部位別 合計値と推計値の比較 全部位(上皮内がんを除く)

罹患数

  • 2014年合計値
    全部位
    男501,527例
    女365,881例
    男女計867,408例
  • 2014年推計値
    全部位
    男505,465例
    女371,248例
    男女計876,713例

年齢調整罹患率

  • 2014年合計値
    全部位
    人口10万対
    男性429.4
    女性300.7
    男女計354.6
  • 2014年推計値
    全部位
    人口10万対
    男性433.0
    女性310.8
    男女計362.1

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男性

 

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女性

 

図2 詳細部位別年齢調整罹患率(人口10万対)男性 2014年

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図3 年齢調整罹患率(人口10万対) 詳細部位別 女性 2014年

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【参考】主要部位・詳細部位対応表

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がん罹患・死亡データの更新に関連する追加集計

生涯累積罹患リスク

生涯累積罹患リスクとは

一生のうちにある病気に罹患する(その病気と診断される)おおよその確率
最新の2014年がん罹患データに基づいて生涯累積罹患リスクを算出すると、
生涯でがんに罹患する確率は、男性62パーセント(2人に1人)、女性47パーセント(2人に1人)。
2013年がん罹患データとほぼ同じ(男性62パーセント、女性46パーセント)。

生涯累積死亡リスク

生涯累積死亡リスクとは

一生のうちにある病気で死亡するおおよその確率

最新の2016年がん死亡データに基づいて生涯累積死亡リスクを算出すると、
生涯でがんにより死亡する確率は、男性25パーセント(4人に1人)、女性16パーセント(6人に1人)。
2015年がん死亡データと比較して変化なし(男性25パーセント、女性16パーセント)。
(死亡データは昨年12月に2015年から2016年に更新されました)

がん種ごとのデータは以下のページに掲載されております。
最新がん統計(外部サイトにリンクします)

2018年のがん統計予測

日本のがん統計は、罹患データは4年から5年、死亡データは1年から2年遅れて公表されています。諸外国では、これらの遅れを数学的な手法で補正して、現時点でのがん統計を予測する試み(短期予測)が実施されています。この短期予測を最新の2014年がん罹患データおよび2016年がん死亡データに基づいて実施すると、以下の通りになります。

がん罹患数予測(2018年)

男女計 1,013,600例 (男性574,800例、女性438,700例)
2017年の予測値とほぼ同じ(男女計1,014,000例、男性575,900例、女性438,100例)

がん死亡数予測(2018年)

男女計 379,900人 (男性223,000人、女性157,000人)
2017年の予測値とほぼ同じ(男女計378,000人、男性222,000人、女性156,000人)

がん種ごとの予測結果は以下のページに掲載されております。

2018年のがん統計予測(外部サイトにリンクします)

報道関係からのお問い合わせ先

国立研究開発法人国立がん研究センター
企画戦略局 広報企画室

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