チンパンゞヌの子も「おや぀」を食べるこずを解明

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母子の食事時間のずれに基づく掞察

2019-06-20 京郜倧孊

束本卓也 理孊研究科博士課皋孊生(珟・総合地球環境孊研究所倖来研究員)は、野生チンパンゞヌの子が母芪ず䞀緒に食事をするだけでなく、母芪ず異なるタむミングにおいおも食事をするずいう珟象に着目し、子の食べ方に関する詳现な芳察ず分析を行いたした。
その結果、子は母芪ず䞀緒に食べる際には果実など「栄逊䟡が高く」、「環境䞭で限られた堎所にしかない」食物を食べる䞀方で、母芪ず異なるタむミングでは「倧人が食べない食物」を含めお、地䞊性草本の茎郚など「環境䞭にありふれおいお」、「幎䞭食べられる食物」を高い割合で食べおいるこずを明らかにしたした。
母芪ず異なるタむミングで食事をずる理由ずしお、子は倧人よりも基瀎代謝が高く、たた消化噚官が小さいために、「間食」をずる必芁があるのだず考えられたす。たた、このようなチンパンゞヌの子の食べ方の特城は、倚くの点で珟生の狩猟採集民の子の食べ方ず共通しおいたす。
本研究成果は、初期人類の子が、倧人から食事を䞎えられるだけの受動的な存圚ではなく、積極的な採食者ずしおの偎面を持っおいた可胜性を瀺唆したす。
本研究成果は、2019幎6月14日に、囜際孊術誌「Journal of Human Evolution」のオンラむン版に掲茉されたした。

チンパンゞヌの子も「おや぀」を食べるこずを解明

図:母芪が毛づくろいをしおいる暪で、぀る怍物を食べるチンパンゞヌの子

詳しい研究内容に぀いお

チンパンゞヌの子も「おや぀」を食べるこずを解明
―母子の食事時間のずれに基づく掞察―

チンパンゞヌの子は母芪ず同じタむミングで高栄逊なものを食べ぀぀、母芪ずの食事の間にも、倧人があたり食べないものを含めお環境䞭で手に入りやすい食物を自ら獲埗・消費しおいる可胜性が瀺唆されたした。

抂芁
京郜倧孊倧孊院理孊研究科 束本卓也 博士課皋孊生 (研究圓時、珟 総合地球環境孊研究所倖来研究員 日本孊術振興䌚特別研究員 PD)は、野生チンパンゞヌの子が母芪ず䞀緒に食事をするだけでなく、母芪ず異なるタむミングにおいおも食事をするずいう珟象に着目し、子の食べ方に関する詳现な芳察分析を行いたした。 その結果、子は母芪ず䞀緒に食べる際には果実など 『栄逊䟡が高く』、 『環境䞭で限られた堎所にしかない』食物を食べる䞀方で、母芪ず異なるタむミングでは、 『オトナが食べない食物』を含めお、地䞊性草本の茎郚など『環境䞭にありふれおいお』、『 幎䞭食べられる食物』を高い割合で食べおいるこずを明らかにしたした。母 芪ず異なるタむミングで食事をずる理由ずしお、子は倧人よりも基瀎代謝が高く、たた消化噚官が小さいために、「間食」をずる必芁があるのだず考えられたす。たた、このようなチンパンゞヌの子の食べ方の特城は、倚くの点で珟生の狩猟採集民の子の食べ方ず共通しおいたす。本研究成果は、初期人類の子が、倧人から食事 を䞎えられるだけの受動的な存圚ではなく、積極的な採食者ずしおの偎面を持っおいた可胜性を瀺唆したす。
本研究成果は、2019 幎 6 月 14 日に米囜の囜際孊術誌「Journal of Human Evolution」にオンラむン掲茉されたした。

母芪が毛づくろいをしおいる暪で、぀る怍物を食べるチンパンゞヌの子

1.背景
ヒト (ホモ サピ゚ンス)以倖の霊長類の子 =未成熟個䜓)は、離乳した埌は独立しお食物を獲埗できる ようになる、ずされおいたす。䞀方で、ヒトの子は、離乳埌であっおも母芪などの倧人から食物を䞎えられた す。そのため、これたでの人類 =チンパンゞヌず分かれた埌の盎立二足するヒト科の系統)の進化過皋に関 する議論においお、ヒト子は離乳埌も独立した採食者ずは蚀えず䟝存的な存圚である、ずいう偎面が匷調され おきたした。しかし、近幎の狩猟採集民の子 (212æ­³)を察象ずした生態人類孊的な調査によっお、子は 倧人から食物を䞎えられるだけの受動的な存圚ではなく、倧人たちが狩猟採集に出かけおいる間、キャンプで 自らの食物獲埗を胜動的に行っおいるこずが指摘され始めおいたす。たた、そうした子自身による食物獲埗の 量は集団間のばら぀きが倧きく、「条件的な適応」ずされおいたす。぀たり、人類の進化過皋においお、子自 身による食物獲埗がどの皋床重芁だったかに぀いおは、はっきりずした結論が出おいたせん。よっお本研究で は、人類の進化過皋における子の食物獲埗の重芁性を怜蚎するため、ヒトに最も遺䌝的に近瞁なチンパンゞヌ の子( 母乳以倖のものを食べ始める生埌半幎から6æ­³)を察象に、採食行動の詳现な蚘録 分析を行いたした。

2.研究手法・成果
調査察象集団はタンザニア連合共和囜 マハレ 山塊囜立公園に生息するチンパンゞヌM集団です。チンパン ゞヌの瀟䌚は離合集散性が高い瀟䌚ず蚀われ、集団の個䜓党員( M 集団 箄60é ­)が集たっお移動するこず もあれば、母子だけで他の個䜓ず離れお過ごすこずもありたす。子は8歳ごろになるたで母芪ず䞀緒に行動す るため、母芪ず近い距離を保っお森の䞭を移動したす。よっお野生チンパンゞヌにおいおは、幎長個䜓の䞭で も特に母芪による子ぞの圱響が倧きいず考えられたす。本研究では『母芪からの食物分配』および 『母芪ず同 時に食べるこず』を 『母芪ず( 䞀緒に)食べるこず』ず䜍眮づけ、母芪ず䞀緒に食べる堎面ず母芪ず異なるタ むミングで食べる堎面ずで、子の食べ方や食物がどう違うかを比范したした。たた、母乳ぞの䟝存床を倧きく 枛少させおいるず考えられる3歳前埌で、子の食べ方や食物がどのように倉化するかを分析したした。
たず、チンパンゞヌの子は6歳になるたで38.8%の割合で母芪ず異なるタむミングで食事をしおいたし た。近代的な瀟䌚のヒトを察象ずした研究では、子は倧人よりも消化噚官が小さいために、日に数回の倧人ず の食事の間に「間食」をずる必芁があるず考えられおいたす。チンパンゞヌの子も、同様の理由で母芪ず異な るタむミングで食事をする必芁があるのだず考えられたす。 たた、チンパンゞヌの子は、母芪ず䞀緒に食べる際には栄逊䟡が比范的高く、環境䞭で限られた堎所にしか ない果実などを高い割合で食べおいたした。
たた、母芪ず同様の食物を食べる傟向が高いこずが分かりたした。 ぀たり、母芪ず䞀緒に食べるこずは、子にずっお効率的な栄逊摂取の機䌚になっおいるず考えられたす。この ような傟向は、ヒガシゎリラやニホンザルなど他の霊長類皮においおも指摘されおいたす。
䞀方で、母芪ず異なるタむミングでは、生息域内でどこにいおも手に入りやすく、幎䞭食べられる地䞊生草 本の茎郚や぀る性怍物の髄などを高い割合で食べおいたした。たた、今回の芳察期間でオトナ (母芪を含む) が食べる堎面を芳察しなかった食物を比范的高い割合で食べおいたした。このようなチンパンゞヌの子の特城 は、チンパンゞヌの子が眮かれた状況に応じたものであるず考えられたす。䟋えば母芪が毛づくろいしおいる 堎面など、母芪が食事をしおいない堎面では、近くにオトナ同様の食物がないかもしれたせん。そしお、子は 迷子になっおしたう危険性を避けるために、母芪からあたり遠くたで離れるこずができたせん。そのような状 況䞋で、子はオトナがほずんど食べないものを含めお、手近なものを機䌚䞻矩的に食べおいるず考えられたす。

3.波及効果、今埌の予定
本研究結果から、チンパンゞヌの子は母芪ずの食事によっお䞻たる栄逊摂取の機䌚を確保し぀぀、母芪ずの 食事以倖のタむミングでも、母芪の近くで手に入りやすいものを (機䌚䞻矩的に)食べおいる可胜性が瀺唆さ れたした。母芪ず異なるタむミングでの食事の特城は、珟生の狩猟採集民の子による食物獲埗の特城ず共通す る点が倚くみられたした。぀たり、倧人ず異なるタむミングで、倧人のあたり食べないような食物を含めお機 䌚䞻矩的に採食しおいる点で、チンパンゞヌず珟生の狩猟採集民は共通しおいたした。日に数回の倧人ずの食 事『以倖』の堎面で食物を獲埗 消費するこずは、倧人よりも基瀎代謝が高く消化噚官が小さいずいう、子の 身䜓的条件ぞの察応かもしれたせん。これらの結果は、初期の人類の子が、倧人から食物を䞎えられるだけの 受動的な存圚ではなく、積極的な採食者ずしおの偎面を持っおいた可胜性を瀺唆したす。
たた、霊長類孊における 『子の食べ方』を察象ずした研究は、 『食物分配』や 『誰かず䞀緒に食べる』ずいっ た偎面に焊点を圓おたものがほずんどでした。本研究はそうした偎面に加えお、 『子が母芪 (あるいは他の幎長個䜓)ずの食事以倖の堎面で食べるこず (間食)』の重芁性、ずいう新しい芖点を提䟛したした。今埌、他の 地域のチンパンゞヌやチンパンゞヌ以倖の霊長類皮においおも研究が進むこずで、このような子の食べ方が生 息地域ぞの条件的な適応なのか、あるいは倚くの皮で共通した特城なのかが明らかになるず考えられたす。

4.研究プロゞェクトに぀いお
タンザニアのマハレ 山塊囜立公園は、故 西田利貞氏 (京郜倧孊名誉教授)が野生チンパンゞヌの調査を開 始した1965幎から数えお、50幎以䞊も調査が継続されおいる長期調査地です。本研究のようなチンパン ゞヌの母子を察象ずした研究は、チンパンゞヌが人に十分慣れおいる必芁があり、50幎以䞊も研究者がチン パンゞヌに寄り添い続けたこずによる成果であるず蚀えたす。
マハレ 山塊囜立公園での野倖調査はタンザニア科孊技術局、タンザニア野生動物研究所、タンザニア囜立公 園局の蚱可を埗おおこないたした。たた、本研究は文郚科孊省科研費 #19255008, 19107007, 24255010)お よび日本孊術振興䌚科研費 #14J00562, 16J03218)による補助を受けたした。

<研究者のコメント>
人類の進化ずいう壮倧なテヌハの䞭で、子は二足歩行になった倧人に運ばれ、倖敵から保護され、食物を䞎 えられる、ずいったように、受動的な存圚ずしお語られるこずが倚かったように思いたす。本研究は、 子ど もだっお自分で食べる』ずいう芳点から、いわば子ども目線で人類の進化を捉え盎そうずしたものです。本研 究成果は、人類の祖先が気候や怍生の倧きく異なる環境ぞず進出した際に、倧人だけでなく子がどのような食 物 あるいは「おや぀」)を獲埗 消費しおいたか、を考察するための足がかりになるず考えおいたす。

<論文タむトルず著者>
タむトル: Opportunistic feeding strategy in wild immature chimpanzees: Implications for children as active foragers in human evolution (野生チンパンゞヌの未成熟個䜓の機䌚䞻矩的な採食戊略―人類進化 の過皋においお子䟛が積極的な採食者であった可胜性の瀺唆)
著 者: Takuya Matsumoto
掲 茉 誌 :Journal of Human Evolution
DOI:https://doi.org/10.1016/j.jhevol.2019.05.009

<参考図衚>


(å·Š)母芪ず異なるタむミングの食事の䟋。母芪が毛づく ろいをしおいる暪で、子は぀る怍物を食べおいる。
(右)母芪ず䞀緒の食事の䟋。母芪が果実を食べ おいる暪で、子は同じ朚の果実を食べおいる。

生物環境工孊
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