細胞小器官の膜リン脂質の新規修飾様式の発見~ホスファチジルエタノールアミンのユビキチン化~

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2022-09-01 東京大学

1.発表者:
坂巻 純一(東京大学大学院医学系研究科 分子細胞生物学専攻 分子生物学分野 特任助教)
水島 昇(東京大学大学院医学系研究科 分子細胞生物学専攻 分子生物学分野 教授)

2.発表のポイント:
◆エンドソームやリソソームなどの細胞小器官や一部のウイルスの膜を構成するリン脂質ホスファチジルエタノールアミンがユビキチン化されることを発見しました。
◆真核生物に普遍的に存在するタンパク質ユビキチンは、他のタンパク質に共有結合して、そのタンパク質の分解や性質変化をもたらすシグナルとして知られていました。今回の発見はユビキチンが細胞小器官の脂質にも結合していることをはじめて示すものです。
◆多くの生命現象や疾患に関連することが知られているユビキチンの全く新しい機能を解明したことにより、細胞生物学や病態生理学の広範囲への波及効果が期待されます。

3.発表概要:
真核生物に普遍的に存在するタンパク質であるユビキチンは、他のタンパク質に共有結合して、そのタンパク質の分解や性質の変化をもたらすシグナルとして働きます。ユビキチン化が 1980 年に発見されてから 40 年以上経ちますが、これまでユビキチン化はタンパク質のみに起きると考えられてきました。今回、東京大学大学院医学系研究科の水島昇教授らの研究グループは、細胞小器官(注1)の膜を構成するリン脂質であるホスファチジルエタノールアミン(注2)がユビキチン化(注3)されることを発見しました。ホスファチジルエタノールアミンのユビキチン化は、エンドソームやリソソームなどの細胞小器官や一部のウイルスでみられ、ユビキチンと結合する性質を持つ他のタンパク質を引き寄せる働きをしていると考えられます。本研究は、生理的条件下で細胞小器官の膜脂質そのものがユビキチン化されていることを示す初めての成果であり、非常に多くの生命現象や疾患に関連することが知られているユビキチンの働きに一石を投じたことになります。本研究は、東京大学大学院医学系研究科機能生物学専攻システムズ薬理学教室の上田泰己教授、大出晃士講師との共同研究であり、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業 総括実施型研究(ERATO)「水島細胞内分解ダイナミクスプロジェクト」(研究総括:水島昇)などの支援を受けて行われました。

詳しい資料は≫

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生物化学工学
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