伸長から分裂への切り替えの仕組み

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2019-03-28 国立遺伝学研究所

Division-site localization of RodZ is required for efficient Z ring formation in Escherichia coli

Yusuke Yoshii, Hironori Niki, Daisuke Shiomi

Molecular Microbiology 2019 DOI:10.1111/mmi.14217

細胞は伸長と分裂を繰り返しながら増殖するが、伸長と分裂はそれぞれ異なる仕組みで行われている。バクテリアでは、アクチン様タンパク質のMreBが伸長を制御し、チューブリン様タンパク質のFtsZが細胞分裂を行う。つまり、2種類の細胞骨格タンパク質の機能を交互に切り替えながら、バクテリアの細胞は分裂増殖している。伸長から分裂への転換時には、細胞分裂面でこの2つのタンパク質が直接作用し合い、伸長から分裂への切り替えが行われているらしい。しかし、細胞分裂面でこの2つのタンパク質の機能の切り替えを仲介する仕組みは謎であった。

立教大学の塩見グループではこれまでMreBと相互作用する因子RodZの解析を行ってきた。今回新たにRodZがFtsZに依存して分裂面に局在すること、その結果MreBを分裂面に呼び込むことを明らかにした。すなわち、RodZがMreBとFtsZの2つの細胞骨格タンパク質の分裂面での出会いを仲介していたのだ。実際、RodZが分裂面に来ないとFtsZによる分裂環(Zリング)形成が遅れてしまう。RodZはMreBを分裂面に呼び込むことで分裂環形成を促し、細胞伸長から分裂へのスムーズな切り替えを担っている。

本研究は遺伝研共同研究Aの支援を受け、立教大学の塩見大輔准教授と吉井佑介大学院生の研究チームと国立遺伝学研究所の微生物機能研究室で行われたものです。

Figure1

図:RodZの分裂面への局在が、効率的なZリング形成(=伸長から分裂への切り替え)を促進する

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生物化学工学
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