キャベツの開花が強力に抑制されるメカニズムを解明~45年前に発見された、花が咲かないキャベツの解析を通して~

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2023-03-23 京都大学

キャベツ‘不抽苔(ふちゅうだい)’(英語ではnon-flowering cabbageの略で‘nfc’)は、1978年に発見された非開花性の自然突然変異体です。‘不抽苔’は通常のキャベツが開花する条件下でほとんど開花せず、45年間にわたって栄養繁殖で維持されてきました。‘不抽苔’では開花が強力に抑制されていると推察される一方で、その分子メカニズムはこれまで長らく不明でした。

木下有羽 農学研究科博士課程学生、元木航 同助教、細川宗孝 近畿大学教授の研究グループは、接ぎ木開花誘導法を利用した交雑集団の育成、QTL-seq解析、RNA-seq解析を組み合わせ、タンデム重複した2つのBoFLC1遺伝子(花成抑制遺伝子FLOWERING LOCUS C [FLC]のホモログ)の恒常的な高発現が、‘不抽苔’の非開花性に関与していることを明らかにしました。

キャベツをはじめとするアブラナ科葉菜類は、花芽をつけると商品価値が著しく低下することから、花芽分化しにくい晩抽性品種の育成が求められています。本研究成果は、キャベツの端境期を埋めるような新品種の開発に応用可能です。

本研究成果は、2023年3月10日に、国際学術誌「Theoretical and Applied Genetics」にオンライン掲載されました。

文章を入れてください(図1)秋に定植した非開花性キャベツ変異体‘不抽苔’と商業キャベツ品種の5月における様子 (Kinoshita et al. 2019より)。
(図2)本研究で明らかにされた、非開花性キャベツ変異体‘不抽苔’における開花制御メカニズムの概略図。

研究者のコメント
「本研究で解析した花の咲かないキャベツ‘不抽苔’は、45年前に京都大学名誉教授 矢澤進 博士によって発見され、以来挿し木によって維持されてきた独自の植物材料です。これまで謎に包まれてきた‘不抽苔’の強力な開花抑制メカニズムを、今回初めて明らかにできたことを非常に嬉しく思っています。」(木下有羽)

詳しい研究内容≫

研究者情報
研究者名:元木 航

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生物化学工学
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