血液を用いてヒグマの年齢が推定可能に!~クマ類の生態学的研究や保護管理への貢献に期待~

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2023-04-24 京都大学

伊藤英之 野生動物研究センター特任研究員(京都市動物園安全管理・病院係長)、中村汐里 北海道大学学部生(研究当時)、下鶴倫人 同准教授らの研究グループは、ヒグマにおける血液DNAのメチル化レベルに基づく新規年齢推定法を確立しました。

DNAメチル化とは遺伝情報を持つDNAへの修飾機構の一つであり、DNA塩基配列の変化を伴わずに遺伝子発現などに影響を及ぼします。近年、ヒトを始めとした様々な動物種において、DNAメチル化レベルが年齢とともに変化するDNA領域があることが明らかになっています。本研究では、年齢が明らかな飼育ヒグマ34個体、野生ヒグマ15個体から血液を採取し、12領域のDNAメチル化レベルを解析しました。その結果、4領域において年齢とメチル化レベルの間に強い相関が認められ、それらを利用して年齢推定モデルを作成しました。最も精度が高いモデルは、1領域(4ヶ所のメチル化部位を含む)のみを利用したモデルで、推定誤差は約1年でした。本研究成果により、血液からヒグマの年齢を高精度で推定可能になりました。従来クマ類では抜歯した歯を用いた年齢推定法が広く用いられてきましたが、本手法はより簡便かつ高精度で、動物への侵襲性が低いという利点があります。

本研究成果は、クマ類の生態学的研究や保護管理の一助となるほか、毛や糞を対象とした類似手法の開発、ヒグマ以外のクマ類への応用など、様々な発展が期待されます。

本研究成果は、2023年3月23日に、国際学術誌「Molecular Ecology Resources」に掲載されました。

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写真は10歳のメスヒグマ(右)と0歳の子供(左)   撮影:山中正実

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生物化学工学
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