赤外光駆動型光合成をクライオ電顕で捉える~低いエネルギーで通常の光化学反応が駆動される仕組み~

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2021-04-20 兵庫県立大学

趣旨

兵庫県立大学大学院理学研究科の伊藤(新澤)恭子特任教授、菓子野(井上)名津子客員教員(助教)、菓子野康浩准教授、理化学研究所(理研)放射光科学研究センター利用技術開拓研究部門生体機構研究グループの浜口祐研究員、川上恵典研究員、米倉功治グループディレクター(東北大学多元物質科学研究所 教授等を兼任)、名古屋大学の伊藤繁名誉教授、京都大学大学院農学研究科の伊福健太郎教授、大阪大学蛋白質研究所の山下栄樹准教授の共同研究グループは、クライオ電子顕微鏡を用いて、近赤外光を吸収するクロロフィルdを主色素として光合成を行うアカリオクロリス・マリナ(Acaryochloris marina)の光化学系Ⅰ(系Ⅰ)複合体の構造を明らかにすることに成功しました。
クロロフィルdの励起によって得た近赤外光のエネルギーは、他の酸素発生型光合成生物で用いられるクロロフィルaより80 mVも低いため、アカリオクロリス・マリナの光合成がどのような仕組みで他の酸素発生型光合成と同じように進むことができるのか、詳しい仕組みは明らかではありませんでした。
本研究により、アカリオクロリス・マリナの系Ⅰ複合体の立体構造が明らかになったことで、低いエネルギーで通常の系Ⅰと同様の反応を達成する仕組みが解明され、本研究の成果は太陽光に多量に含まれる赤外光を利用した人工光合成の開発といった応用につながると期待できます。
今回、共同研究グループは、冷陰極電界放出型の電子銃を備えた新型の国産クライオ電子顕微鏡を用いて、アカリオクロリス系Ⅰ複合体の原子構造を2.58オングストローム(Å、1Åは100億分の1メートル)分解能での決定に成功しました。
本研究は、4月20日午後6時(日本時間)付で、オンライン科学雑誌『Nature Communications』に掲載されます。

詳しい資料は≫

問い合わせ先

兵庫県立大学大学院理学研究科 准教授 菓子野康浩
兵庫県立大学播磨理学キャンパス経営部 総務課
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生物化学工学
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